当期(とうき) とは、会計期間の中で、現在の期間や年度を指します。企業では、財務諸表や会計記録を作成する際に、対象となる期間を区切って処理を行いますが、その区切られた期間のうち、現在の会計年度が「当期」となります。
具体的には、「本年度」「今期」 という言葉と同じ意味を持ちます。対義語として、過去の期間を指す「前期」や、次の期間を指す「次期」があります。
当期の概要
- 会計期間の単位
当期は、企業が定めた会計期間(通常は1年)に基づきます。たとえば、4月1日から翌年3月31日までが会計期間の場合、2024年4月1日から2025年3月31日までが当期となります。 - 財務諸表での活用
損益計算書や貸借対照表などの財務諸表では、当期の数値を中心に記載し、前期と比較することが一般的です。 - 決算業務との関連
当期末には決算処理が行われ、当期の財務状況や経営成績が確定されます。
当期に関連する主な用語
- 当期純利益
損益計算書で計算される最終的な利益を指します。企業の当期中の経営成績を示す重要な指標です。 計算式:
当期純利益 = 売上総利益 - 販管費 - 営業外損益 - 特別損益 - 税金
- 当期未処理損益
当期中に処理されなかった損益のことを指し、次期以降に繰り越されます。 - 当期首・当期末
- 当期首(とうきしゅ): 当期の開始時点(例:2024年4月1日)。
- 当期末(とうきまつ): 当期の終了時点(例:2025年3月31日)。
当期の財務諸表への影響
1. 損益計算書
損益計算書では、当期中の収益や費用を計上して、最終的な「当期純利益」または「当期純損失」を計算します。
例:損益計算書の一部
売上高 5,000,000円
売上原価 3,000,000円
売上総利益 2,000,000円
販売費および一般管理費 800,000円
営業利益 1,200,000円
税引前当期純利益 1,100,000円
法人税等 300,000円
当期純利益 800,000円
2. 貸借対照表
貸借対照表では、当期末の資産、負債、純資産を記録します。当期の利益は、純資産の一部として反映されます。
例:貸借対照表の一部
資産の部:
現金および預金 2,000,000円
売掛金 1,500,000円
合計資産 3,500,000円
負債の部:
買掛金 500,000円
短期借入金 1,000,000円
純資産の部:
資本金 1,000,000円
利益剰余金 1,000,000円
合計負債純資産 3,500,000円
当期の仕訳例
例1:売上の計上
当期中に売上500,000円を現金で受け取った場合。
借方:現金 500,000
貸方:売上 500,000
例2:費用の発生
当期中に広告宣伝費100,000円を現金で支払った場合。
借方:広告宣伝費 100,000
貸方:現金 100,000
例3:当期末の利益振替
当期の利益800,000円を「繰越利益剰余金」に振り替える場合。
借方:当期純利益 800,000
貸方:繰越利益剰余金 800,000
当期の管理で重要なポイント
- 収益と費用の対応
当期中の収益に対応する費用を正確に計上することで、適切な利益を算出します。 - 正確な記帳
当期中の取引内容を正確に記帳し、帳簿の整合性を保つことが重要です。 - 決算処理
当期末には、未払費用や未収収益の調整、減価償却費の計上など、決算整理仕訳を行います。 - 前期や次期との比較
前期や次期と比較して、当期の業績を評価し、経営戦略を立てるための基礎資料とします。
まとめ
当期は、企業活動における現在の会計期間を示し、その期間内での収益や費用、利益の管理が財務管理の基本です。特に、損益計算書や貸借対照表において当期の数値は企業の経営状況を把握するうえで重要な役割を果たします。
簿記や経理の学習者や実務者は、「当期」という概念を正しく理解し、収益と費用の計上、利益の算出、そして前期や次期との比較を行うことで、企業の財務管理や経営判断に貢献できるスキルを身につけましょう。
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