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五を断ち、五を修め、五を超えて――激流を渡る者となれ


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📖 原文引用(『ダンマパダ』第二五章 第370偈)

五つの束縛を断て。五つの束縛を捨てよ。
さらに五つのはたらきを修めよ。
五つの執著を超えた修行僧は、「激流を渡った者」と呼ばれる。

(原文:
Pañca chinde pañca jahe,
pañca pañcaddham bhāvaye;
Pañcasaṅgātigo bhikkhu,
“oghatiṇṇo”ti vuccati.

―『Dhammapada』Ch. 25, v.370)


🔍 逐語訳(逐文・簡潔)

  • Pañca chinde:五つを断て(chinde=断ち切る)
  • Pañca jahe:五つを捨てよ(jahe=捨て去る)
  • Pañca pañcaddham bhāvaye:さらに五つを修めよ(bhāvaye=修習する)
  • Pañcasaṅgātigo bhikkhu:五つの執著を超えた修行者は、
  • “Oghatiṇṇo” ti vuccati:「激流を渡った者」と呼ばれる。

📘 用語解説

項目内容
五つを断て「下の五結(saṃyojana)」:
①自己観、②疑い、③戒禁取、④欲望、⑤怒り
五つを捨てよ「上の五結」:
⑥色界欲、⑦無色界欲、⑧慢、⑨興奮、⑩無明
五つを修めよ①信、②精進、③念、④定、⑤智慧(五根または五力とも解釈)
五つの執著上記の「五結(結びつき)」や「五欲(色・声・香・味・触)」を含むとされる場合もあり。
激流(ogha)生死・煩悩・苦しみの流れのたとえ。輪廻の激流を意味する。

🗣️ 全体の現代語訳(まとめ)

五つの束縛(自己への執着や怒りなど)を断ち切り、
さらに五つの微細な執着(無明や慢など)を捨て去り、
信・精進・念・定・智慧という五つの修行を完成させた修行者は、
生死・煩悩という激しい流れを渡り切った者と呼ばれる。


🧭 解釈と現代的意義

この偈は、**心の成長プロセスを段階的に示した「修行の地図」**のようなものです。
まずは目に見える執着(欲・怒り・我)を断ち、次に目に見えにくい慢心や無明を捨て、最後に正しい信・行・心・知を養っていく。
そして、それらの修行を果たしたとき、人は煩悩という激流を超えて、真の安らぎと自由に至るのです。
現代人にとっても、これは「内なる混乱を乗り越え、心の成熟を果たすための具体的な段階」として受け取ることができます。


💼 ビジネスにおける解釈と応用

観点応用・実践例
自己改革自我・怒り・執着(例:肩書、プライド、成功への執念)を手放す段階を意識する。
リーダーの成長見える成果から、内面の成熟(謙虚さ、洞察力、忍耐)へと成長を移行させる。
持続的成功の鍵「五力」(信念・努力・集中・冷静さ・判断力)をバランスよく養うことが、ブレない強さを育てる。
人間関係の成熟相手への評価や感情を抑え、無条件の理解と忍耐によって衝突や摩擦を乗り越える。

🧠 心得まとめ(ビジネスパーソン向け)

「断ち、捨て、修めて、超える――激流を渡る者の道は、静かに深い。」
何かを得るためではなく、何かを捨てることで見えてくるものがある。
欲・怒り・慢心という心の重荷を下ろし、
信念と智慧をもって、混乱と競争の激流を渡り切る――
それが、成熟したビジネスリーダーの姿である。


この偈は、「人生と修行の段階」を明確に示す重要な教えであり、現代的なマインドセット改革にも通じます。

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