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善を積む者は、恐れなく渡る


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■引用原文(日本語訳)

四〇
善いことをして、悪いことをしないならば、
善い人々が福徳のもとを昔行なったのであっても、
決して死を恐れない。
堅固な舟で河を渡る人々のように。

―『ダンマパダ』第二八章「悪」より


■逐語訳

  • 善いことをして、悪いことをしないならば:善業を実践し、悪業を避ける生活をするならば、
  • 善い人々が福徳のもとを昔行ったのであっても:過去に積まれた善行による福徳を持つ人々は、
  • 決して死を恐れない:死の瞬間にも平静であり、恐れる理由がない。
  • 堅固な舟で河を渡る人々のように:善き行いは、死という大河を安全に渡るための強い舟となる。

■用語解説

  • 善いこと・悪いこと:仏教において、善は清らかさと利他性を持つ行為、悪は自己中心的で他を傷つける行為。
  • 福徳:善行を積み重ねることによって得られる幸福や功徳、人生を支える“見えない資産”。
  • 死を恐れない:来世や死後の報いに対して不安を抱かない、心の静けさ・信念の安定。
  • 堅固な舟:仏教的象徴としての「確かな行い」や「善き生き方」が、危機や死に際しても人を支える。

■全体の現代語訳(まとめ)

もしも人が日々善行を重ね、悪しきことを避けるならば、
過去の善き行為(福徳)は揺るぎない基盤となり、
その人は死を前にしても、決して恐れることはない。
それはまるで、堅牢な舟に乗って大河を渡る者が、
流れに呑まれることなく、安心して向こう岸へと至るようなものである。


■解釈と現代的意義

この偈は、「善行の蓄積は、生死を超える安心につながる」という普遍的な教えを説いています。
死の瞬間における“揺るぎない心”は、偶然ではなく、日々の行為の積み重ねによってのみ得られます。
善を行うことは、単なる道徳的選択ではなく、「魂を支える構造を築く」ことに他ならない
のです。
また、「堅固な舟」という比喩は、人生の不確実性を渡るための信念や実践の重要性を象徴します。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点応用例
倫理的リーダーシップ社員や組織が困難に直面したとき、過去の誠実な積み重ねが“信頼の舟”となる。
リスクマネジメント危機時における判断の落ち着きは、平時の善き姿勢によって培われる。
キャリアの安心感善き業績と誠実な人間関係を積んできた人は、変化や引退、老いにも動じず生きられる。
持続可能な成長「一発逆転」よりも、「地道な善行の積み重ね」が、確実に未来を支える。

■心得まとめ

「誠実の舟は、死すら越える」
日々の善行は、
やがてあなたを、
死という大河さえも恐れず渡らせる舟となる。
それは一夜にしてできるものではない。
だが、静かに、確かに積み上げた誠実さと行いは、
人生の最期においても、
あなたを裏切ることなく支えるだろう。
恐れず生きよ。
善の舟は、あなたと共にある。

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