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我社の事業を創る

以下が、M社社長が作成したカバーシートの文面です。このまとめは、M社がパンティーストッキング業界で直面していた課題を掘り下げ、販売促進における方向性を見直すきっかけになった内容です。

目次

カバーシート: M社小売店舗訪問記録

1. お客様の最大の関心事項

訪問先の小売店から、お客様が最も重視しているのは「色」であることが判明しました。実際の販売データや店舗の声からも、色のバリエーションが購買意欲に大きく影響することが確認できました。

2. 流通マージンの重要性

多くの店舗では、単に小売価格を下げた商品は取り扱いに消極的であることが分かりました。流通業者はマージンが低いと利益が取れず、魅力的な価格設定を求めています。小売価格の安さだけでなく、卸価格を調整することで流通業者にとっても魅力的な商品の提供が可能になります。

3. 商品の見せ方とディスプレイ

いくつかの小売店から、他社と異なるディスプレイ方法やパッケージングに関する要望がありました。特に目を引く色や素材感を前面に出すことで、消費者の購買意欲を高めることが期待できます。

4. 品質と価格のバランス

一部の店舗では、価格が安い商品でも「質の良さ」が求められていることが分かりました。お客様は長く使える耐久性を求めており、価格と品質のバランスが重要だという意見が多く寄せられました。

5. 今後の方針

これらの小売店舗の声をもとに、以下のような取り組みを実施予定です。

  • カラーバリエーションの強化:売れ筋の色を定期的にリサーチし、季節やトレンドに合わせた色展開を強化する。
  • 流通マージンの調整:流通業者の利益が確保できるような価格設定と卸価格の見直しを行う。
  • 目を引くディスプレイ:店頭での視認性を高めるためのパッケージデザインや販促ツールの開発。
  • 品質と価格のバランス向上:品質改善と適正価格の見直しを行い、お客様にとって価値ある商品を提供する。

この訪問記録をもとに、M社は販売戦略を再構築し、業績の改善に向けて歩み始めました。

流通業者はカスミを食って生きているわけではない。売場の一坪一坪に大きな資本を投じている。販売経費もかかる

それを賄えないような超安値ーつまり低マージンの品物を大量に売るわけにはいかないのである。「安価なら売れる」という神話は間違っている。流通マージンが小さければ売れないのである。

この点が盲点になっているのだ。だから、メーカーは小売価格を安くするよりも、卸価格を安くして流通マージンが多くなるような希望価格設定をすれば売れる。

価格の高いのは極端な場合は別にして心配することはない。高マージンにしてあれば、流通業者が値下げをして売るからである。

メーカーが流通業者を通して売る場合に、小売価格を指定するのは、特定の商品以外は違法になるので、「希望価格」とし、小売価格は流通業者がきめるのである。

当時のM社は、売上ランクは六〜七位の完全な「限界生産者」であり、大幅な赤字をかかえながら、売上げはジリ貧だったのである。

M社長に、いろいろお話を伺ったのだが、販売の「ハの字」も知らない全くの職人社長だった。

とっていたのは「色別」ではなく「原料別」だった。つまり生産計画の都合なのである。これでは会社ではなくて工場である。

社長は、販売には全く関心がなく、販売担当専務に任せっきりだったのである。この専務も販売には全くの素人で、流通業者のところへなど行ったことはなかった。販売の「ハの字」も知らない職人企業だったのである。これでは販売不振にならないほうが不思議である。

私は「会社の運命をきめるものは販売である。その販売は社長自ら陣頭指揮をしなければいけないものである。これは、社長が売り歩くということではなく、社長自らが販売基本方針を立て、体制を整え、販促の指導を行なうことで、直接販売活動は販売部門で行なうのである。

そのためには、社長がいくら社内にいて考えても何も出てこない。お客様のことを全く知らないからだ。社長自らお客様を訪問し、お客様の要求や不満を教えてもらうことから始めなければならない」と。

それ程社長の立場というのは重大なのである。私は言下に「お客様のところを廻って下さい。いままで副社長や専務の時に廻ったのと全く違って、お客様の一言一言が胸にこたえますよ。そして、社長は何をしたらいいかは、このお客様の言葉の中にあります」と答えることにしている。

私がお手伝いに参上した会社で、社長に対する第一の質問が「お客様のところを廻っておりますか」である。これ程、社長の行動の中でお客様訪間は絶対的な重要性を持っているのである。

一倉が一カ月後にお伺いするまでに一〇〇店舗を訪問し、そこで社長は何を見たか、小売店から何をいわれたかを、メモ書きでいいから一倉に見せていただきたい、一カ月半程過ぎてから、二回目のM社訪間の時に、 一五〇店舗程の訪問記録(B五判で二五枚)にカバーシートをつけたものを私に示された。

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