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民の営みと天の理に寄り添う誠実さが、真の諫言となる

どれほど高位にある者でも、自然の摂理と民の暮らしを忘れてはならない。
太宗が櫟陽での狩猟を計画したとき、まだ収穫が終わっておらず、天の時にもそぐわないことを理由に、県の次官・劉仁軌は進んで諫言した。
身分の上下を越えて、民と時の理に基づいて諫めたその心意気は、太宗に正しく受け入れられ、狩猟は中止となり、劉仁軌はより高い地位へと登用された。

本質を見極め、義をもって諫める者には、たとえ地位が低くとも道が開かれる。
好みに流されず、正しい理と時を見定める眼差しこそ、為政者にも臣下にも不可欠である。


原文(ふりがな付き)

貞觀(じょうがん)十四年、十月、太宗(たいそう)將(まさ)に櫟陽(れきよう)に幸(こう)して畋(か)らんとす。
縣丞(けんじょう)劉仁軌(りゅうじんき)、収穫(しゅうかく)未(いま)だ畢(お)わらず、人君(じんくん)順動(じゅんどう)の時(とき)に非(あら)ずとして、行(こう)に詣(いた)り、上表(じょうひょう)して切(せつ)に諫(いさ)む。
太宗、獵(かり)を罷(や)め、仁軌を擢(ぬき)て新安令(しんあんのれい)に拜(はい)す。


注釈

  • 畋(かり):狩猟のこと。天子の楽しみであり、また軍事訓練としても行われた。
  • 縣丞(けんじょう):地方県の副長官。県令の下に位置する役職。
  • 順動(じゅんどう):天の運行、つまり自然の理(ことわり)にかなう行動を意味する。
  • 上表(じょうひょう):君主に対して正式に意見を述べる文書。
  • 擢(ぬ)く:抜擢。特に優れた者を引き上げること。
  • 新安令(しんあんのれい):新安県の長官。県丞より上位の官職。

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