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強者の真の力は、恐れぬ姿勢にあらわれる

突厥の大軍が唐の都・長安の北に迫ったとき、太宗は城に籠ることなく、単騎で渭水を越えて敵将に向き合った。
周囲が慎重策を提案する中、太宗はあえて出軍し、国を守る覚悟と気迫を示した。

敵は、太宗の即位直後の混乱を突いて攻めてきた。
だが太宗は、堂々と敵の前に立ち、「私は恐れていない」と態度で示した。
突厥は予想外の展開に動揺し、ついに退却を願い出た。

真に国を導く者とは、力そのものではなく、その使い方を知る者である。
脅しには屈せず、動揺せず、時に先手を打って相手の意図を挫く。
その胆力と判断力こそが、戦わずして勝つ道を切り拓くのだ。


■引用(ふりがな付き)

「頡利(けつり)聞(き)くに、我(わ)が国家(こっか)新(あら)たに難(なん)有(あ)り、又(また)聞(き)くに我(われ)初(はじ)めて即位(そくい)す。乃(すなわ)ち其(そ)の兵衆(へいしゅう)を以(もっ)て、直(じき)に此(ここ)に至(いた)る。謂(おも)えらく、我(われ)敢(あえ)て出(い)でざると」


■注釈

  • 頡利可汗・突利可汗:突厥の指導者たち。太宗の即位直後を狙って長安へ侵攻した。
  • 執失思力(しっしつしりょく):突厥側の使者・部族長。威圧のため「百万の兵」と誇張しつつ進言。
  • 単騎出軍(たんきしゅつぐん):太宗が一人で馬に乗り、敵前に赴いた決断。
  • 兵容を示す(へいようをしめす):軍の士気と備えを見せることで、戦意を見せつけた。
  • 盟を結ぶ(めいをむすぶ):最終的に突厥は唐との和平を願い退却した。

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