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品格を汚すもの、徳を腐らせるもの


目次

📜 引用原文(日本語訳)

不品行は婦女の汚れである。もの惜しみは、恵み与える人の汚れである。悪事は、この世においてもかの世においても(つねに)汚れである。
——『ダンマパダ』第18章「汚れ」第242偈


📘 逐語訳

  • 不品行:貞節や節度を欠いた振る舞い。ここでは性格や行動における節度の欠如。
  • 婦女の汚れ:女性にとっての「名誉を損なう行動」を象徴的に表す。現代的にはすべての人に適用できる「節度なき行為」。
  • もの惜しみ:施しや分かち合いを拒む心、利己的な態度。
  • 恵み与える人の汚れ:布施や援助を本分とする者にとって、けち心は人格を損なう。
  • 悪事:道徳に反する行為。嘘・盗み・暴力・不正など。
  • この世においてもかの世においても:現世でも死後の世界でも。因果応報は時空を超えるという仏教の原理。

🧾 用語解説

用語意味
汚れ(アスッカ)精神的・倫理的な堕落、不浄さ。仏教では「煩悩」の表現でもある。
不品行慎みや節度を欠いた行い。性別にかかわらず、誠実さを欠いた振る舞いを指す。
もの惜しみ(慳貪・けんどん)与えることを惜しむ心。布施の対極にある心の汚れ。
悪事仏教の「十悪業」に該当するような、言葉・行為・思考の不善。

🌏 全体の現代語訳(まとめ)

節度を欠いた行いは人の品格を損ない、けち心は本来与えるべき者の徳を損なう。
そして、悪事を働くことは、この世でも来世でも、常に自分の魂を汚すことになる――仏陀はそう戒めている。


💡 解釈と現代的意義

この偈は、「人の徳を損なう具体的な要因」を挙げて示しています。
節度のない振る舞い、与えるべきところでのためらい、不正な行動――いずれもその人の本来の尊さや人格を曇らせるものです。

仏教の「汚れ」とは、物質的な汚染ではなく、心の性質・人格の質に関わるもの。だからこそ、常に自己を省みる必要があります。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
節度ある振る舞い自由や個性を重視する時代でも、公私の節度を失えば信用を失う。
けち心と信頼ノウハウや知識の共有を惜しむことは、信頼とチーム力を損なう「徳の汚れ」。
倫理観の保持道徳を逸脱した行動(虚偽報告・不正経理など)は、必ず後に自分自身や組織に返ってくる。
リーダーの徳与えるべき立場の人間が「与えずに抱え込む」と、組織の風土が荒れる。

🧭 心得まとめ

「節度を失えば人格が曇り、与えなければ徳が腐り、悪事は魂を蝕む」

人間は、何を為すかだけでなく、何を控えるか、何を惜しまないかによって真価が問われる。
自らの在り方が、そのまま自らの「清さ」となるのだ。
日々の選択が、自分を磨くか汚すかを決めている。


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