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自分に都合よく生きず、誤りを知ればすぐに正す

孔子は、人間関係と自己改善の基本についてこう語った。

「人とのつき合いでは、まず**忠(まごころ)と信(誠実さ)**を大切にせねばならない。
また、自分より劣る者だけを選んで友とするようなことがあってはならない。

そして、もし自分に過ちがあったと気づいたら、
それを改めることを恐れてはいけない。

これは、人との関わり方と、自分との向き合い方の双方において、誠実であることの大切さを説いた章句である。

自分より弱い立場の人とばかりつき合うのは、自分を甘やかすだけ。
逆に、自分より優れた人物と交わることで、学び、刺激を受け、成長するきっかけが生まれる。

また、どんなに立派な人であっても、過ちはある。
大切なのは、その誤りを素直に認め、即座に改めることができるかどうか
それができる人こそ、真に強く、成熟した人物なのだ。


原文(ふりがな付き)

「子(し)曰(いわ)く、忠信(ちゅうしん)を主(しゅ)とし、己(おのれ)に如(し)かざる者(もの)を友(とも)とすること毋(な)かれ。過(あやま)ちては則(すなわ)ち改(あらた)むるに憚(はばか)ること勿(なか)れ。」


注釈

  • 忠(ちゅう)…まごころ。人に対して真っ直ぐであること。
  • 信(しん)…誠実さ。嘘や裏切りのない人間関係。
  • 己に如かざる者…自分より劣っていると見なした相手。そうした人とばかり関わるのは成長の妨げとなる。
  • 改むるに憚ること勿れ…過ちを恥じて改めることをためらってはならない。即座の修正が大切。

原文:

子曰、主忠信、毋友不如己者、過則勿憚改。


目次

書き下し文:

子(し)曰(いわ)く、忠信(ちゅうしん)を主(しゅ)とし、己(おのれ)に如(し)かざる者を友(とも)とすること毋(な)かれ。
過(あやま)ちては則(すなわ)ち改(あらた)むるに憚(はばか)ること勿(な)かれ。


現代語訳(逐語/一文ずつ訳):

  • 忠信を主とし
     → 誠実さ(忠)と信頼(信)を人生の基本に据えなさい。
  • 己に如かざる者を友とすること毋れ
     → 自分より徳や知恵の劣る人を親しい友とするな。
  • 過ちては則ち改むるに憚ること勿かれ
     → 間違いを犯したなら、それを改めることをためらってはならない。

用語解説:

  • 忠(ちゅう):誠意ある心。内面的な誠実さ。
  • 信(しん):他人との約束や信義を守ること。外に向けた信用。
  • 如かざる者:「及ばない者」「自分より劣っているとされる者」。ここでは道徳・知識・人格の面。
  • 友とするな:親しい関係を持たないように、という慎みの意味。
  • 憚る(はばかる):ためらう、気にして行動を控えること。

全体の現代語訳(まとめ):

孔子はこう言った:

「誠実と信義を人生の根本としなさい。
自分よりも劣る人を親しく付き合う相手にしてはいけない。
そして、もし過ちを犯したなら、ためらわずにすぐ改めなさい。」


解釈と現代的意義:

この章句は、人格の鍛錬・交友関係の選び方・自己修正力という3つの重要な徳目を簡潔に教えています。

● 「忠信」は人間の根本

孔子が強調したのは、「学識」ではなく「誠実さ」と「信頼」。これは人格・人間関係・社会信頼の基礎。

● 「友」は人格に影響を与える鏡

付き合う人を選ぶことは、自分の成長を左右する。「切磋琢磨できる友」を持つことが重要であり、徳に劣る者と親しくすると、自己の質も下がる。

● 「間違いを恐れず、直すことを恐れるな」

誰でも間違いはする。大事なのは、「素直に誤りを認め、すぐに改める」行動の速さと誠実さ。


ビジネスにおける解釈と適用:

1. 「忠信」を軸にした信頼経営と人材評価

  • 誠実さ(忠)と信頼性(信)は、業績よりも評価されるべき基準。
  • チームリーダーや評価者は、「成果」だけでなく「忠信」に基づく行動を重視すべき。

2. 「付き合う相手」は仕事の質を決める

  • パートナー・顧客・同僚・友人──誰と組むかで自分の行動も変わる。
  • 自分の価値観や成長を高めるような人間関係を意識的に選ぼう。

3. 「即改即行」──フィードバック文化の構築

  • ミスを責めるのではなく、「すぐ直せる人」を評価する文化をつくる。
  • 部下にも上司にも、「間違いはあっていい、改めることを恐れるな」というメッセージが必要。

ビジネス用心得タイトル:

「誠に始まり、誤りに学べ──“忠信と改過”が人をつくる」


この章句は、組織文化・人間関係・自己成長のいずれにも通用する普遍的な原理を簡潔に示しています。

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