—— 誤ることより、改めないことが問題だ
孔子は、人間の過ちに対する根本的な姿勢について、次のように述べました。
「過ちを犯したとしても、それを改めれば過ちとはいえない。
だが、過ちに気づきながら改めない――それこそが本当の“過ち”である」。
人間である限り、過ちは避けられない。
しかし、そのあとの態度こそが、その人の徳を決定づける。
つまり、**「間違えたこと」ではなく「間違えたままにしておくこと」**が、
真に問題とされるのです。
孔子は他の章句でも、弟子たちに繰り返しこの教えを説いています。
顔回を「過ちを繰り返さない人物」として賞賛し、
子貢は「君子の過ちは日食のように、すぐに直る」と述べています。
すぐに改める心があるかどうか――それが人間性の分かれ目なのです。
原文とふりがな
「子(し)曰(い)わく、過(あやま)ちて改(あらた)めず、是(こ)れを過(あやま)ちと謂(い)う」
注釈
- 「過ちて」:過ちを犯すこと。行動や判断の誤り。
- 「改めず」:気づいても修正しない、態度を変えない。
- 「是を過ちと謂う」:それこそが本当の「過ち」だという孔子の強い断言。
- この考えは他の論語の章でも繰り返されており、孔子の倫理観の核心をなす一節です。
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(改めてこそ成長)not-fixing-is-the-real-fault
(改めぬことこそ過ち)mistake-unfixed-is-true-error
(誤ちを放置するのが真の誤ち)
この心得は、現代においても失敗に対する向き合い方・成長の原動力・誠実なリーダーシップなどに深く通じます。
**「過ちを認め、改める勇気」**が、人を信頼される存在へと導いていくのです。
1. 原文
子曰、過而不改、是謂過矣。
2. 書き下し文
子(し)曰(いわ)く、過(あやま)ちて改(あらた)めずんば、是(こ)れを過ちと謂(い)うなり。
3. 現代語訳(逐語/一文ずつ)
- 「子曰く、過ちて改めず」
→ 孔子は言った:「誤ったことをして、それを改めようとしないのは…」 - 「是を過ちと謂う」
→ 「まさしくそれこそが“真の過ち”である」。
4. 用語解説
- 過(あやまち):誤り、失敗、判断ミス、行動上の不徳など。
- 改む(あらたむ):誤りを正す、改善する、悔い改める。
- 是謂〜(これを〜という):これこそまさに〜である、の意。
- 過ちと謂う:本当の意味での「過ち」とはこれだ、という強調表現。
5. 全体の現代語訳(まとめ)
孔子はこう言った:
「人は誰しも間違いを犯すが、
それを改めようとしないなら、それこそが“本当の過ち”である」。
6. 解釈と現代的意義
この章句は、「誤りそのものより、それを放置することの方が重大である」という、
孔子の自己省察と成長の倫理を端的に示しています。
- 人間は完全ではなく、過ちを犯すことは当然。
- しかし、それを見て見ぬふりをし、改めようとしない態度こそが、非難されるべき“真の過ち”。
- つまり、孔子は過ちを犯すことではなく、学ばない姿勢・改善しない姿勢を戒めています。
7. ビジネスにおける解釈と適用
◆ 「ミスそのものではなく、“放置”が問題」
失敗を隠す、無視する、誰かのせいにする──こうした態度が、組織の信頼と未来を破壊する。
◆ 「誤りを改める文化が、健全な組織をつくる」
ミスを共有し、改善しようとする姿勢を称賛しよう。
“責める文化”ではなく、“学ぶ文化”の醸成が成長を支える。
◆ 「謝罪より“改め”が重要」
謝って終わるのではなく、「どう改善するか」にこそ責任がある。
“反省+行動”が信頼を回復させる唯一の道。
◆ 「リーダーは“改める姿”を示す存在である」
部下に「間違えるな」と言うのではなく、自分自身が過ちを認め、改める姿を示すことで、チームに誠実さを広げる。
8. ビジネス用心得タイトル
「過ちより恐るべきは、改めぬ心──改善こそが信頼を築く」
この章句は、個人の成長、組織の進化、リーダーシップの核心に関わる普遍的な倫理原則です。
ミスをどう扱うか、改善文化をどう定着させるかなどに直結し、**“誠実に学び続ける組織づくり”**の土台となります。
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