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迷いは早く気づいて正せば、禍が福に転じる——小さな逸れこそ、大きな分かれ道

ふと心に生じた考えが、私利私欲の方向へわずかでも向かっていると感じたなら、
その瞬間に気づき、すぐさま正しい道理の方向へと引き戻さねばならない。

このように、迷いや誤りの芽を早く察知し、すぐに修正することで、
本来なら災いとなるはずだったものが、かえって幸福のきっかけとなり、
破滅へと傾いていた流れを、生き返るように蘇らせることもできる。

それほど、小さな気づき、小さな修正は、大きな転換点たりうる。
「少しぐらいだから」と軽んじて放っておけば、それはやがて手に負えないものとなる。

起死回生の機会は、いつも最初の“わずかなズレ”に気づくかどうかにかかっている。


原文とふりがな付き引用

念頭(ねんとう)起(お)こる処(ところ)、纔(わず)かに欲路上(よくろじょう)に向(む)かって去(さ)るを覚(さと)らば、便(すなわ)ち挽(ひ)きて理路上(りろじょう)より来(き)たせ。
一(ひと)たび起(お)こりて便(すなわ)ち覚(さと)り、一たび覚りて便ち転(てん)ず。
此(こ)れは是(これ)れ禍(わざわ)いを転(てん)じて福(ふく)と為(な)し、死(し)を起(お)こして生(せい)を回(かえ)す関頭(かんとう)なり。
切(せつ)に軽易(けいい)に放過(ほうか)すること莫(なか)れ。


注釈(簡潔に)

  • 念頭(ねんとう):心に浮かぶ最初の思い。
  • 欲路上(よくろじょう):私利私欲に向かう道。間違った方向。
  • 理路上(りろじょう):正しい道。理性と道理にかなった方向。
  • 一たび覚りて便ち転ず:「気づいたその瞬間に方向を変える」ことが重要であるという教え。
  • 関頭(かんとう):転機・分岐点・重大な瞬間。
  • 放過(ほうか):見過ごすこと、流してしまうこと。

パーマリンク案(英語スラッグ)

correct-small-errors-early
「小さな誤りを早めに正す」という実践的な教えを反映したスラッグです。

その他の案:

  • tiny-shifts-save-lives
  • catch-the-curve-quickly
  • from-wrong-to-right-in-a-moment

この章は、「大きな禍は、小さな放置から始まる」という深い人生訓を教えてくれます。
私たちが抱える多くの問題も、実は最初のわずかな“違和感”を見逃した結果として起きているのかもしれません。

日々の小さなズレに誠実に向き合い、すぐに修正することで、
運命そのものを良い方向に変えることができる——まさに「禍を転じて福と為す」知恵の精髄です。

1. 原文

念頭起處、纔覺向欲路上去、便挽從理路上來。一起一覺、一覺一轉。此是轉禍爲福、起死回生之關頭。切莫輕易放過。


2. 書き下し文

念頭(ねんとう)起こる処、纔(わず)かに欲路(よくろ)上に向かって去るを覚(さと)らば、便(すなわ)ち挽(ひ)きて理路(りろ)上より来たせ。
一たび起こりて一たび覚り、一たび覚りて一たび転ず。
此(こ)れは是れ禍(わざわい)を転じて福と為し、死を起こして生を回すの関頭なり。切に軽易に放過(ほうか)すること莫(なか)れ。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳す)

  • 念頭起處、纔覺向欲路上去、便挽從理路上來。
     → 心に何か思いが起こったとき、それが欲望の道に向かっていると気づいたなら、すぐに理性の道へと引き戻しなさい。
  • 一起一覺、一覺一轉。
     → 思いが生まれた瞬間に気づき、気づいた瞬間にすぐに切り替えること。
  • 此是轉禍爲福、起死回生之關頭。
     → これはまさに、災いを福へと転じ、死をも生へと回復するほどの重要な転換点なのだ。
  • 切莫輕易放過。
     → 絶対に軽く見たり、簡単に見逃してはならない。

4. 用語解説

  • 念頭(ねんとう):心に浮かぶ最初の思い、意識の芽生え。
  • 欲路(よくろ):欲望の道。自己中心的・感情的・衝動的な方向。
  • 理路(りろ):道理・理性・良知の道。節度ある判断や倫理的な方向。
  • 纔かに(わずかに):ほんの少しでも。
  • 挽く(ひく):引き戻す。
  • 転ず(てんず):方向を変える、転換する。
  • 関頭(かんとう):重大な分かれ目、局面。
  • 放過(ほうか):見逃すこと、見過ごして流すこと。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

心に何か思いが浮かんだとき、それが欲望や感情に流される方向だと少しでも感じたなら、
すぐにそれを理性の道へと引き戻しなさい。

思いが生まれたその瞬間に気づき、気づいたその瞬間に行動を改める──このわずかな判断が、
災いを福へと変え、絶望的な状況を救うほどの大きな転換点となる。
だからこそ、このような瞬間を軽く扱ってはならないのだ。


6. 解釈と現代的意義

この章句は、「念の管理と即時の修正の重要性」を説いています。

  • 悪しき行動や失敗は、大抵「ほんの一瞬の油断」から始まる。
  • 人間の心は、初動の“ほんの一念”が運命を左右する。
  • だからこそ、「あ、これではいけない」と気づいた瞬間に引き戻す力=自制と理性こそが、人生の質を決める。

この教えは、東洋思想における**「内省の哲学」「小さな芽のうちに正す」**という知恵の精髄です。


7. ビジネスにおける解釈と適用(個別解説付き)

▪ 衝動的な意思決定の「起点」で修正する力

例えば、怒りや苛立ち、焦り、嫉妬──それらの「念頭」に気づいた瞬間に、
理性的な判断に切り替えられる人こそが、信頼されるビジネスパーソン

▪ 小さな違和感を放置しない「自律的マインド」

目先の利益に走る誘惑、ルール違反の甘え、人間関係の感情的な対立──
その芽に気づき、すぐに理に戻す人は、トラブルを防ぎ、長期的成功を導く。

▪ 「判断の質=念の管理」である

優れた経営者・リーダーは、衝動をコントロールする力=瞬時の自己内省力を持っている。
それが、「禍いを福に転じ、ピンチをチャンスに変える」鍵になる。


8. ビジネス用の心得タイトル

「一念の転換が運命を変える──“気づきと即時修正”が最大の危機管理」


この章句は、「感情に支配されない心の訓練」の価値を示しています。
気づいたらすぐに改める勇気と意志──これがあれば、人はどんな危機からでも立ち直れる。
まさに、「小さな気づきが、人生の大きな安全網になる」という深遠な教訓です。


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