目次
引用原文(日本語訳)
努力するヨーギンは、自己のうちに宿る彼を見る。
しかし、自己を制御しない、思慮のない者は、努力しても彼を見ない。
(『バガヴァッド・ギーター』第15章 第11節)
逐語訳
真剣に努力する修行者(ヨーギン)は、
自己の内に宿る「彼(魂・神性)」を見出す。
だが、自己制御のできていない者、思慮の浅い者は、
どれほど努力しても、その「彼」を見ることはできない。
用語解説
用語 | 意味 |
---|---|
ヨーギン | 自己を鍛え、心を制御し、霊的目標を志す者。修行者。 |
彼 | 魂(ジーヴァ)であり、またはその背後にある神(アートマンやブラフマン)を指す。 |
自己に宿る | 魂・神性は外にあるのではなく、自己のうちに存在するという教え。 |
自己を制御しない | 感覚や欲望、衝動に流される状態。 |
思慮のない | 内省や判断力が未熟な状態。表面的な行動や結果に偏っていること。 |
全体現代語訳(まとめ)
心身を整え、自己を鍛錬している修行者(ヨーギン)は、
自分の内に本来存在している魂(あるいは神性)を見ることができる。
しかし、自分自身を制御できず、表面的に努力するだけの者は、
いくら外的に頑張っても、それを見ることはできない。
解釈と現代的意義
この節は、「見る力」は単なる努力だけで得られるものではなく、
自己の制御と深い思索によって養われるということを教えています。
現代では、外的成果や見える努力が重視されがちですが、
本当の意味での「気づき」や「本質の理解」は、
制御された心・沈黙の内省・意識的な修養によって得られるものです。
ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
外面的努力 vs 内的成熟 | 長時間働くだけでは本質に到達できない。心の在り方・習慣・意識を整えることが重要。 |
自己制御の重要性 | イライラ・衝動・欲望に流されると、正しい判断ができない。感情のコントロールは成功の前提条件。 |
リーダーシップの成熟 | 部下を導くには、まず自分の心を見つめ、制御できる器が必要。自己管理の深さが信頼を生む。 |
本質的な思考と観察 | 問題の根本や人の本心を理解するには、思慮深さと精神的な集中が不可欠。表面的努力だけでは見えない。 |
心得まとめ
「努力の先にあるのは、制御された心にだけ見える真実」
動くだけでは足りない。働くだけでは足りない。
心を整え、内を見つめ、己を制御すること。
そうして初めて、見えないものが見えてくる。
魂の声も、他者の本質も、課題の核心も――
それは、沈黙の中にこそ現れる。
コメント