■ 引用原文(日本語訳)
修行僧らは、つとめはげむのを楽しめ。
よく戒めをたもて。
その思いをよく定め統一して、
自分の心をまもれかし。
――『ダンマパダ』第四章「はげみ」第36節
■ 逐語訳(一文ずつ現代語訳)
- 修行僧らは、つとめ励むのを楽しみなさい。
努力と精進を喜びとして受け入れなさい。 - よく戒め(戒律)をたもちなさい。
行動や言葉を律する道徳的規範を堅持しなさい。 - その思いをよく定め、統一しなさい。
心を乱さず、集中して一つの目的に向かいなさい。 - そして、自らの心を守りなさい。
外からの誘惑や内からの乱れに負けず、平穏と清らかさを保ちましょう。
■ 用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
つとめ励む(ヴィリヤ) | 精進・努力を怠らず、精神的成長に努めること。 |
戒め(シーラ) | 身体と言葉の行為における倫理規範。仏教で重要な修行の柱の一つ。 |
思いを定め統一する(サマーディ) | 心の集中を深め、一つの対象に安定させる瞑想的状態。 |
心を守る(チャッタマナ) | 外部の誘惑や煩悩から自分の心を保護し、堕落を防ぐ実践。 |
■ 全体の現代語訳(まとめ)
修行においては、努力すること自体を喜びとすることが理想である。
行いを律し、心を散らさず統一させ、誘惑や怠惰から自分の心を護る。
このような生き方が、心の清らかさと悟りへの道を築くのだと教えている。
■ 解釈と現代的意義
この節では、**三つの修行の柱――「精進」「戒律」「心の統御」**が説かれています。
それぞれが単独で成り立つものではなく、互いに支え合って人格の完成を導くものです。
現代社会においても、この教えは非常に実践的です。
自分の時間や行動を律し、心を乱さず集中し、
そして努力を「苦行」ではなく「喜び」として捉える感覚。
これは、自律的に生きるための心構えとして極めて有効です。
■ ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
努力を楽しむ視点 | 成果だけに焦点を当てるのではなく、成長や挑戦そのものを楽しむ文化づくりがチームを活性化する。 |
倫理と自己管理 | 小さなルールでも守ることは、信頼とリーダーシップの基礎になる。自制心は人間力の証。 |
集中力の強化 | 情報過多の中でも、集中すべき対象を定めて取り組むことが、効率と質を両立させる。 |
セルフコントロール | 「忙しい」「気が散る」ではなく、心をどのように整えるかが、真のプロフェッショナルの分岐点。 |
■ 心得まとめ
「努力を喜びとし、規律を守り、心を一つにせよ」
心を乱す外界ではなく、
その動揺に振り回される“内なる自分”をこそ制御せよ。
努力に喜びを見出し、倫理に生き、
静かで揺るぎない心を築く者こそ、
本当の意味で自由な人である。
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