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簿記の勘定科目:「消耗品費」の基礎知識

「消耗品費」とは、企業が事業活動の中で使用する物品のうち、少額で耐用年数が短い物品を購入した際に発生する費用を記録するための勘定科目です。この費用は、損益計算書では「販売費及び一般管理費」に分類されることが一般的です。


消耗品費とは?

消耗品費に含まれる具体的な項目は以下の通りです:

  1. 事務用品
  • ボールペン、ノート、クリップ、ファイル、印鑑など。
  1. 清掃用品
  • 掃除道具、洗剤、ゴミ袋など。
  1. 印刷・製本用品
  • カタログ、チラシの印刷費用、製本材料。
  1. 工具や備品
  • 安価なドライバーセット、電卓、照明器具など。
  1. その他の消耗品
  • トイレットペーパー、ペーパータオル、コーヒーフィルターなどの日常消耗品。

消耗品費の会計処理

  1. 消耗品費の支払い時の仕訳
    消耗品を購入した際は「消耗品費」勘定に計上します。 例:事務用品を現金で5,000円購入した場合
   借方:消耗品費 5,000円  
   貸方:現金 5,000円
  1. クレジットカードで購入した場合
    クレジットカードで消耗品を購入した場合、「未払金」として処理します。 例:事務用品をクレジットカードで2万円購入した場合
   借方:消耗品費 20,000円  
   貸方:未払金 20,000円

後日クレジットカード代金を支払った際の仕訳:

   借方:未払金 20,000円  
   貸方:普通預金 20,000円
  1. 消費税の処理
    消耗品費に消費税が含まれる場合は課税仕入れとして処理します。 例:税込5,500円(税抜価格5,000円、消費税500円)の場合
   借方:消耗品費 5,000円  
   借方:仮払消費税等 500円  
   貸方:現金 5,500円

税務上の取り扱い

  1. 損金算入が可能
    消耗品費は、法人税法上、全額を損金(経費)として算入できます。ただし、事業活動に関連する消耗品である必要があります。
  2. 消費税の処理
    消耗品費に含まれる消費税は課税仕入れとして処理し、仕入税額控除の対象とします。
  3. 固定資産との区別
    高額で耐用年数が1年以上の物品(例:パソコン、家具)は「固定資産」として資産計上し、消耗品費には含めません。

消耗品費の具体例

  1. 事務用品の購入
   借方:消耗品費 10,000円  
   貸方:現金 10,000円
  1. 印刷物の購入(消費税対応)
   借方:消耗品費 30,000円  
   借方:仮払消費税等 3,000円  
   貸方:普通預金 33,000円
  1. 消耗品費の未払い処理
   借方:消耗品費 15,000円  
   貸方:未払金 15,000円
  1. 消耗品と固定資産の区別
    例:購入価格が5万円以下の工具(消耗品費として処理可能)
   借方:消耗品費 45,000円  
   貸方:普通預金 45,000円

例:購入価格が10万円のオフィスチェア(固定資産として資産計上)

   借方:工具器具備品 100,000円  
   貸方:普通預金 100,000円

消耗品費の注意点

  1. 固定資産との区別を明確にする
    消耗品費として計上するのは、少額かつ短期間で消耗する物品のみです。購入金額が一定額を超える場合は、固定資産として資産計上します。
  2. 個人用消耗品の計上を避ける
    個人用の物品を経費として計上しないよう注意します。事業活動に関連する消耗品のみを記録します。
  3. 領収書や請求書の保存
    消耗品費に関連する領収書や請求書を保管し、税務調査に備えます。
  4. 消費税の処理ミスを防ぐ
    消耗品費に含まれる消費税額を正確に把握し、課税仕入れとして処理します。

消耗品費の管理方法

  1. 経費管理システムの活用
    消耗品費を一元管理できる経費管理システムを導入し、支出を正確に記録します。
  2. 購入頻度の見直し
    定期的に購入頻度や消耗品の使用状況を見直し、無駄な支出を削減します。
  3. 事業用と個人用の区分
    自宅兼事務所の場合、事業用と個人用を明確に区分して計上します。
  4. 税理士との連携
    固定資産との区別や税務処理について税理士に相談し、適切な対応を行います。

まとめ

「消耗品費」は、企業の日常業務を支える重要な経費の一つです。正確な会計処理と税務対応を行うことで、経費管理の透明性を高め、税務リスクを軽減できます。また、固定資産との区別や消費税の処理を徹底することで、適切な経費計上が可能になります。

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