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■引用原文(日本語訳)
「すべての聖仙たちはあなたをそのように呼ぶ。また、神仙ナーラダ、アシタ・デーヴァラ、ヴィヤーサたちも。そしてあなた自身も、私にそのように告げる。」
(『バガヴァッド・ギーター』第10章 第13節)
■逐語訳(一文ずつ)
- sarva eva ṛṣayaḥ
→ すべての聖仙たちは - tathā iti me matam
→ そのように(あなたが至高の存在であると)私に語っていると私は理解しています。 - nāradaḥ tathā asitaḥ devalaḥ vyāsaḥ ca
→ ナーラダ、アシタ、デーヴァラ、ヴィヤーサもまた同じように語っています。 - svayaṃ ca eva bravīṣi me
→ そして、あなたご自身も私にそう告げておられます。
■用語解説
- 聖仙(ṛṣayaḥ):霊的な智慧と直観を持つ賢者。宇宙の真理を伝える者。
- ナーラダ(Nārada):ヴェーダの賢者であり、神の名を讃えて宇宙を巡る偉大な伝道者。
- アシタ(Asita)・デーヴァラ(Devala):伝統的な聖仙で、聖典や系譜に登場する霊的導師。
- ヴィヤーサ(Vyāsa):『マハーバーラタ』や『ヴェーダ』編纂者とされる、最も権威ある聖者の一人。
- あなた自身も(svayaṃ ca):ここではクリシュナ自身(神)が、直接に自己の本質を語っていることを指す。
■全体の現代語訳(まとめ)
「この真理――あなた(クリシュナ)が至高の存在であるということ――は、古来のすべての聖仙が語っていることです。そして、ナーラダ、アシタ、デーヴァラ、ヴィヤーサといった賢者たちも同様に語っており、さらにあなた自身も、私にそのように直接語ってくださっています。」
■解釈と現代的意義
この節は、「権威ある存在が一貫して同じ真理を語っている」ということに、アルジュナが信頼と確信を深めている場面です。
つまり「自分の直感」だけでなく、過去の賢者たちの証言、信頼できる人物の言葉、自らの経験――それらが一致しているとき、確信は深まり、疑いが消えるのです。
現代的に言えば、「複数の信頼できる情報源が一致していること」は、信念の基礎をつくり、行動の指針を強固にします。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
判断基準の整合性 | 経営判断において、現場の声・先人の知恵・自らの体験の三者が一致するなら、それは確信を持って行動すべきサイン。 |
価値観の継承 | 偉大なリーダーたちが繰り返し語るビジョンや価値観は、普遍性がある。それに沿うことは長期的な成功につながる。 |
組織の信頼構築 | 「この人も、あの人も、あなた自身もそう言っている」という一致は、チームの信頼と納得感を強める。 |
ストーリーテリング | 歴史・実例・個人の証言が重なったとき、語る言葉には説得力が宿る。プレゼンや理念伝達にも活用できる原理。 |
■心得まとめ
「確信は、一致する証言の上に立つ」
内なる信頼だけでなく、外の賢者の声、尊敬する人の言葉、そして相手自身の発言が一致したとき、人は迷いなく信じることができる。
信仰とは盲目的なものではなく、「信じるに足る材料の集積」から生まれる確信なのだ。
ビジネスにおいても、自分の理念や判断を裏付ける「言葉と行動の一貫性」が、最大の信頼を築く鍵となる。
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