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競争という言葉の実態

多くの経営者が「競争が激しい」と口にします。しかし、具体的にどのような競争をしているのかを問うと、明確な答えが返ってくることはほとんどありません。実際には、「競争している」というのは言葉だけで、実際には何もしていないというのが現実です。

私が「競争に勝つための準備をしていますか?」と尋ねると、経営者たちは一様に困惑します。「敵の情報を収集していますか? 競合の動向を把握していますか?」と掘り下げると、答えは曖昧なままです。競争を口にする一方で、具体的な行動が伴っていない企業がいかに多いかを痛感させられます。


競合調査の実態と無策の現状

私が支援してきた企業の中で、競合他社の情報を徹底的に集め、分析している経営者に出会ったことはほとんどありません。多くの場合、せいぜい興信所に依頼して作成してもらった調査報告書を棚に放置している程度です。それらの報告書は、必要なときに取り出せるよう整理されることもなく、競争戦略に活用されることは稀です。

仮に毎年興信所を通じて競合の情報を調査している企業であっても、調査結果を基にした行動計画がないことがほとんどです。結果として、競争とは名ばかりで、実際には「戦う準備」をすらしていないのが現実なのです。


戦う準備の欠如

本当に競争に勝つつもりがあるのなら、競合他社の情報収集を徹底し、それを活用することが必須です。具体的には、以下のような準備が必要です:

  1. 競合他社ごとに詳細なファイルを作成
  • 配送センターの場所、セールスマンの動向、営業エリアなど、敵の動きを記録・整理します。
  1. 情報の定期的な更新
  • 過去の報告書を棚に眠らせるのではなく、最新情報を常に収集・蓄積し、分析します。
  1. 戦略に基づく行動計画の策定
  • 競合の弱点を見極め、それを的確に突くための具体的な行動計画を立てます。

これらの基本的な準備を怠りながら「競争」と言うのは、自らの無策を隠すための方便にすぎません。本当に戦っている企業であれば、こうした取り組みを「最低限の準備」として日常的に行っているはずです。


自社の現状を知らない経営者

さらに問題なのは、競合他社の情報を知らないだけでなく、自社の状況すら把握していない経営者が多いことです。セールスマンの活動状況やリソースの配置、営業活動の成果など、自社の基本情報すら正確に理解していないケースが散見されます。

そのような経営者は、販売活動を「営業部門の仕事」と割り切り、自らは売上報告を受け取って文句を言う程度の行動しかしません。このようなリーダーシップの欠如が、競争力を低下させる最大の要因となっています。


闇試合のような競争

競合を知らず、自社の状況も把握できていない状態で、ただ闇雲に行動することを私は「闇試合」と呼んでいます。こうした状況では、競争に勝つどころか、敵を見つける前に味方を傷つけてしまうことさえあります。目標が明確でなく、戦略もないため、企業全体が迷走し、リソースが無駄に消費されるのです。

闇試合を続ける限り、競争に勝つことは不可能です。勝つためには、まず「己を知り、敵を知る」という基本に立ち返る必要があります。この原理は『孫子』の教えであり、時代を超えて有効な普遍的な真理です。


真の競争とは何か

真の競争とは、以下のステップを踏むことで初めて実現します:

  1. 敵を知る
  • 競合他社の強み、弱み、動向を徹底的に分析し、戦略の材料とする。
  1. 己を知る
  • 自社のリソースや課題を正確に把握し、それを最大限に活用する。
  1. 戦略を立てる
  • 収集した情報を基に、敵の弱点を突き、自社の強みを活かす具体的な計画を立案。
  1. 戦略を実行する
  • 戦略を行動に移し、その効果をモニタリングし、必要に応じて修正する。

競争とは、単なる「戦い」ではなく、「戦う準備」と「戦略の実行」が伴うものです。この基本を理解し、実践することで、企業は真に競争に勝つ力を手に入れることができるのです。


結論:競争に勝つために必要なこと

「競争が激しい」と嘆く前に、本当に戦う準備が整っているのかを冷静に見直す必要があります。闇雲に行動するだけでは、勝利どころか自滅に繋がるだけです。競争に勝つためには、情報収集、分析、戦略立案、実行という一連のプロセスを徹底することが不可欠です。

競争の実態を理解し、適切な準備を進めること。それこそが、企業が生き残り、成長を遂げるための唯一の道筋なのです。


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