- いい人材が集まる仕組みは従業員満足度ESにある
- 給料面だけでも複数の経費がかかる(環境整備や、当人の保険など)
石坂産業株式会社埼玉県入間郡にある産業廃棄物処理業の石坂産業株式会社は、業界屈指と言われる「減量化・リサイクル化率98%」を実現したことで注目を集める会社です。
同社が誇る最先端の資源再生プラントは、「分別分級の徹底追求」を目指し、設計された全天候型施設。
CO2を排出しない重機を自社開発したり、埃や音漏れを防ぐクイックシャッターの設置、道路を汚さないために雨水でタイヤを洗浄する設備の設置など、随所に独自の工夫が凝らされています。
周辺の自然環境や働く人のことが、よく考慮された運営は高く評価されており、工場見学には業界内外はもとより、世界各国から多くの人が訪れています。
同社は同時に地域貢献・環境問題にも熱心に取り組んできました。
工場周辺の森の再生化に注力している他、環境テクノロジーの開発、農産物の栽培・加工・販売、公園の整備、地域住民との交流を目的とした各種イベントなどが行われています。
これらを実践するには、当然ながら、接客・サービスや農業、小売業、研究開発……など多様で広範な活動を行う人財が必要となります。
同社はそのための組織体制の整備、人財育成を手がけてきました。
こうした取り組みは、ゴミを焼却・減量・再資源化するといった、いわゆる産廃の事業領域を大きく超えています。
考え方のベースにあるのは、同社のスローガンである「自然と美しく生きる」。そして使命とする「自然と共生する、つぎの暮らしをつくる」という思想です。
産廃事業をコアとしつつも、この使命があるからこそ、周辺領域での様々なアイデアや発想が生まれ、その実践を続けることで、業界内で揺るぎないポジションを勝ち得たと言えるでしょう。
この使命が生まれた背景には、「私たちが目指すのは、地域に貢献し、地域に必要とされる企業になること」(代表取締役社長の石坂典子氏)という強い信念があります。
というのも、氏には、かつて「地域に必要とされていない」という危機に陥った経験があるからです。
同社は1967年、石坂氏の父親がダンプカー1台で土砂処理業を始めたのがスタートです。大量生産、大量消費の時代にあってゴミ処理需要は増え続けました。それに伴い、同社も順調に成長していきました。
97年には15億円の費用をかけ、ダイオキシンを発生させない最新式焼却炉を導入、当時年商20数億円の企業にとっては大きな先行投資でした。
ところがその2年後、「周辺の野菜から高濃度のダイオキシンが検出された」というテレビ報道(後に誤報と判明)をきっかけに、同社はマスコミ・世間から事実無根の批判を浴びせられるようになりました。
この厳しい状況を打開するには信頼回復が不可欠でした。
前述の全天候型のプラントの設置や、積極的に見学者を受け入れプラント内部を公開するといった施策を打ち出していったのにもこうした経緯があります。
事業が順調に進んでいない時に、将来のビジョンや成長戦略を描くことは容易ではありません。しかし逆境の時こそ、事業の目的や自社の存在理由を見つめ直すチャンスでもあります。
2代目社長を継ぐという石坂氏の不退転の覚悟もこの時に生まれたと言います。
それが今日の同社の発展の起点となったのです。
【逆境から這い上がる経営ビジョン策定のポイント】
◇自社の原点である先代の理念に立ち戻り、信念を以て再生に取り組む
◇社会に受け入れられるためには、との観点から事業を見直し再定義
CompanyProfile石坂産業株式会社所在地……埼玉県入間郡三芳町1589‐2資本金……5000万円売上高……54億4000万円(2018年8月期)従業員数…180名(2019年1月)https:/ishizakagroup.co.jp/Column
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