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Column構造不況業種にあって大幅な業績拡大を実現株式会社TTNコーポレーション

この記事でわかること

市場の縮小が顕著な業界で成長戦略を描くのは難しく、畳業界はその代表例と言えるでしょう。

住宅着工件数の減少、ライフスタイルの変化による和室の減少、海外産製品との価格競争などマイナス要因は多く、畳表の国内生産枚数は減少の一途をたどっています。

そんな中、急成長を遂げ、注目を集める企業がTTNコーポレーション(兵庫県伊丹市)です。いわゆる〝町の畳屋さん〟として1934年に創業された同社は、戦後の高度経済成長期に発展。

80年代には社員20名ほどを抱え、不動産会社や工務店、マンションオーナーなどを顧客とする企業体へと成長しました。

が、以後は前述の理由から、伸び悩むことになります。どうすれば差別化を実現し、業績拡大できるか。これが4代目である現社長、辻野佳秀氏が入社直後から直面していた課題だったのです。

課題解決のため、当時、同社が取り組んでいたのは機械化による製造の効率化でした。これにより1日に1人1枚だった生産ペースが1人25枚まで引き上げられたのです。スピードは安さにも通じ、差別化の武器になると期待したのですが、思ったほどの効果は得られませんでした。

転機となったのは営業先で耳にした、ある和食レストランオーナーの一言。「畳は張り替えたいけれど、それで1日、店を休むわけにはいかない。閉店後の夜中に張り替えてくれたらなあ」畳の張り替えは職人仕事。

24時間対応など業界の常識からは考えられないことでしたが、辻野氏はここに可能性を感じました。

社内に持ち帰り相談したものの、「24時間なんて無理」と誰からも相手にされず、「ならば自分1人ででもやろう」と決意することになります。

最初の週、飲食店からの注文は1件だけ。

通常業務を終えた後、深夜に客先に出向き、畳を工場へ持ち帰りました。

張り替えたものを再度車で運び、元通り敷き終えた時にはもう朝です。

次の週は3件。

そして3週目には、150件の注文が舞い込んできました。

慌てて夜間対応スタッフの採用を行いましたが、勤務体制が整ったのは半年後。

その間も注文は増え続け、売上はそれ以前(約4億5000万円)と比べ、初年度から10億円と、倍以上に跳ね上がりました。

「夜に張り替えてほしい」との要望を耳にしたことのある畳店は、辻野氏だけではなかったかもしれません。

ただ、それを「1人24時間体制」によって検証し得たのは辻野氏だけ、だったのです。

健康管理面からは決して問題のないやり方とは言えませんが、氏の可能性があればすぐに試してみる行動力や、現状を打破したいという執念によって、同社は手つかずの市場を得ることができたのです。

「不況だから」、「市場が縮小しているから」──構造不況業種では、会社の成長を阻害する要因はいくらでも挙げられます。

が、厳しい経営環境にあっても成長できる企業は確かに存在し、それを実現するのはやはり、リーダーの情熱であると言えるのです。

【新たな市場を切り拓く差別化のポイント】

◇常日頃からいかにして差別化を図るかを意識することでチャンスをつかんだ

◇機械化によって実現していた高い生産性を最大限発揮できるタイムシフトに着目

CompanyProfile株式会社TTNコーポレーション所在地……兵庫県伊丹市北伊丹9‐80‐3資本金……3000万円売上高……70億円(グループ合計)従業員数…350名http://www.ttncorporation.net/

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