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Column幹部陣の能力向上のために

Column幹部陣の能力向上のために

前項で「望ましい経営幹部像」についてご説明しましたが、ではそのような人財を育成するにはどのような方法があるでしょうか。もちろん「人」に関わることなので、その人によって、置かれた状況によって適切な方法は変わるでしょうが、社長の分身となってもらうためには、最低でも●担当業務に関する知識●経営知識、及び、自ら問題を見出し、自ら答えを導き出す思考力●自社に関する正しい現状認識(市場動向や財務状況等)●自社の経営理念、経営ビジョン、使命、及びそれらを貫く経営者自身の考え方や哲学に対する深い理解●それらを背景に、主体的に経営に関わっていく姿勢や成長意欲●人の上に立つ者としての品格や部下への愛情……が必要であろうと思われます。このうち、「自社の経営理念、経営ビジョン、使命、及びそれらを貫く経営者自身の考え方や哲学に対する深い理解」については、経営者の側から、経営幹部、及びその候補となる方々と積極的にコミュニケーションを図っていくことが最も有効です。自分はなぜこのような理念を持つに至ったのか、その思考過程やベースとなる経営者の人生経験も含め繰り返し説明し、心から納得してくれる状態となるよう努めましょう。その状態に到達するには経営者もまた、個々の経営幹部が置かれている状況や考え、価値観を理解する必要があります。今、「なかなか社内でそんな話はしづらいな」ということなら、まずコミュニケーションの土台づくりから始める必要があるかもしれません。

なお、相手に正しい現状認識を持たせ、自社の経営理念への理解を深めさせ、さらに主体的に経営に関わっていく姿勢を養う一石三鳥の手段としては、「戦略的中期経営計画の策定に参加させる」という方法があります。弊社では年に2回、1泊2日の合宿形式で会社の経営戦略をとことん議論し、各自が自部門の経営計画にまとめるということを行っていますが、30代の若手マネジャーから参加の機会を与えています。当初は経営戦略論やマーケティング等の基礎的な知識に差もあり、議論というよりも事細かくレビューするような内容でしたが、毎年継続して開催するうちにどんどんレベルアップされてきました。今では経営者である私が口を挟むことはほとんどありません。経営計画というアウトプットの機会を与えることで、幹部自ら経営知識を蓄えようとするメリットもあり、ぜひ実践していただきたい方法です。また、その計画も経営者から一方的に与えられたものではなく、自分たちが考えて作成したものとなるため、当然ながら、目標達成への責任感も圧倒的に強いものとなります。このように経営幹部の育成には様々な手段が考えられます。次世代経営塾で受講生の方に対し、「経営幹部の育成に必要なことは何ですか?」と聞いたところ、以下のような意見が出されました。●自分が手本になる●情報共有の徹底●社長が業務遂行するのに同席させる●経営方針の根元を学ぶ●ビジョンの共有●社長とのコミュニケーション(社長の考えを理解)●責任を負わせる(権限移譲)●経営の実態(会社の業績等)について情報共有●任せて任さず(計画・実行・報告・考察)●他社で修業させる●経営計画を一緒に作成する●経営会議、全体ミーティングに参加させる●経営戦略やマネジメントの勉強をさせる●外部の幹部研修、経営者が参加する研修等を活用するetc.いずれの手段を採るにしても、その機会を通じ、経営陣の1人として自立を促すことがポイントです。自立とは、「自分で自分に問いかけて答えを出し、実行することで成果を出す」ことを言います。経営には算数のような唯一解はなく、従って何が自社にとっての正解であるか、常に自身で考え、自らの行動で証明するという姿勢が求められます。そのためには、今、後継者の皆さん自身が経営を学ぼうとなさっているように、経営幹部にも早いタイミングで学びの機会を与える必要があるでしょう。既に述べた通り、経営を学ぶには、「理論を身につける」ことと「経験を通じ体得する」ことの2通りがあります。経験は最も有益ですが、1人の経験には限界があります。これを補うにはやはり理論も不可欠なのです。ただ、これは私にも経験があるのですが、理論を学べば学ぶほどそれを役立てる場面が増えるのと同時に、矛盾しているようですが、なかなか理論通りにいかないと思い知らされることも増えていきます。経営の現場には例外が溢れており、理論にも当然限界があります。この点に留意し、「理論」と「経験」を両輪に自らの思考の軸=「自分で自分に問いかけて答えを出し、実行することで成果を出す力」を身につけさせることが、経営幹部育成において最も重要であると言えるでしょう。

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