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Columnランチェスター戦略の実践営業エリアを絞り込むことで成長する

スズキ機工株式会社金属が錆びついたり磨耗したりした時に、あるいはその防止用に使われる潤滑剤。数多くの製品が市場に出回っていますが、その中で、高性能を武器に売上を伸ばしているのがスズキ機工(千葉県松戸市)が開発・販売している「ベルハンマー」です。標準タイプのスプレー缶で2700円(税別、420ml入り)と、潤滑剤にしては安くありませんが、年間12万本を出荷するヒット商品です。しかし同社は最初から潤滑剤メーカーだったわけではありません。もともと食品工場向けの機械装置の設計・製造をオーダーメードで受注してきた会社です。そ

れが自社ブランド製品をヒットさせることができたのは、顧客ニーズを早く、深く知ることができるという強みを持っていたからです。その強みを確立するために採ったのが営業エリアを絞り込む戦略でした。新製品開発のヒントは顧客の生産現場にありました。工場で使われる機械装置は高圧力、高温の環境下で使用されるケースも多く、市販の潤滑剤ではすぐに効果が切れてしまいます。金属の磨耗が早いと、高額な部品も頻繁に交換しなければならなくなります。「そうしたお客様の課題を解決するために、高性能な潤滑剤をつくろうと考えた」と代表取締役社長の鈴木豊氏は言います。機械装置事業の顧客である食品工場を、普段からよく観察し、現場の声をよく聞いていたからこそ、生まれたアイデアだったと言えます。「それができるのは、当社とお客様との距離が近いからです。顧客接点を多く持つことで、現場のニーズを他社よりも早く、深く知ることができる。これこそが当社の強みです」と鈴木氏は言います。「お客様との距離」とは文字通りの意味です。以前、同社の顧客は北関東や静岡県辺りまで、車で片道3~4時間かかる工場もありました。しかし、「顧客にとって一番近い存在でなければ、勝ち残れない」(鈴木氏)という想いから、営業エリアを「車で片道1時間以内」と決めました。「1時間以内」としていますが、現状は片道20~30分圏内の工場がほとんどです。そのため同社の社員は週に何度も訪れるローテーションを組むことができるようになり、中には、毎日顔を出す会社もあるそうです。営業範囲を狭めたことで顧客数は減少したものの、エリア内の顧客とは接点が増えたことで機械装置事業の客単価は向上。利益率も大幅に改善しました。「もっともこの狭いエリアだけではいずれ成長に限界がくる。それでは社員とその家族の幸せを提供し続けられない。そこで考えたのがベルハンマーなどの自社ブランド製品開発と物販事業です」(鈴木氏)。顧客にとって一番近い存在という「強み」を獲得するために、営業エリアを絞り込み、顧客接点を増やすことで既存事業の利益率を改善。のみならず、その強みを活用することで、自社ブランド製品の開発・販売という新規事業への展開が可能となったのです。こうした一連の戦略はよく練られたものですが、その起点になっているのは「社員とその家族の幸せ」を追求する経営理念です。その想いこそが同社の成長を支えているのです。【ランチェスター戦略で業績を上げるポイント】◇顧客にとって一番近い存在になるため、営業エリアを絞る◇顧客ニーズを早く、深く知ることで新製品開発に活用◇経営理念に基づく成長戦略を策定、実行するCompanyProfileスズキ機工株式会社所在地……千葉県松戸市松飛台316‐3資本金……3000万円売上高……4億3000万円従業員数…17名http://www.suzukikikoh.com/

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