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Column「自社の強み」とは?

経営計画を考える際、必ず出てくる視点として、「自社の強みを伸ばし、弱みを克服する(補う)」というものがあります。「自社の強み」を発見するための手法として先にご紹介したSWOT分析等があるのですが、それでもなかなか「自社の強み」が浮かび上がってこないことがあります。なぜでしょうか?P・ドラッカーの著作に、次のような言葉があります。「誰でも、自らの強みについてはよくわかっていると思う。だが、たいていは間違っている。わかっているのは、せいぜい弱みである。それさえ間違っていることが多い。~中略~しかし、何ごとかを成し遂げるのは、強みによってである。弱みによって何かを行うことはできない」(『プロフェッショナルの条件』より)つまり、自分たち自身が「これが自社の強みだ」と考えても、それは自分たちの主観でしかなく、本当の強みからは程遠いことが多いということです。確かな経営計画を立案するためには、「自社の本当の強み」を知り、それを伸ばしていく計画でなければならないのですから、「自社の本当の強み」を知るプロセスは極めて重要となります。「自社の強み」を考える際には、3つの視点があると言われています。即ち●自社の視点●顧客の視点●競合の視点です。以下、それぞれの項目について解説します。①自社の視点これは、「自分たちが自分たちをどう考えているか」という視点です。SWOT分析等で整理できるのはこの視点です。過去の成功要因を、その時々の環境を思い出しながら整理し、なぜ自分たちが勝ち残れたかとシナリオ化するプロセスを経て、拠って立つべき「自信とプライド」を見出していきます。今後の環境の変化を前に、自尊心を持ち、前向きに経営に取り組む原動力をはぐくむ取り組みと言えるでしょう。②顧客の視点現在の顧客はなぜ、自社を選んでくれたのでしょうか。数多い競合企業との比較において、自社の製品(サービス)を選択してくださっている理由を正確に知るという視点です。とはいえ、顧客アンケートをとれば顧客の本当の気持ちやニーズを知ることができる、というような簡単なものではありません。顧客はなかなか本音を語ってはくれないものであるのに加え、そもそも顧客自身が「この製品(サービス)を選んだ理由」を明確に言語化して認識していないことも多々あるからです。この視点を得るためには思いつきで「顧客の声」を集めるのでなく、トップ自身が顧客と向き合い、しっかりと話を伺う姿勢が必要となります。③競合の視点「強み・弱み」とは相対的なものです。競合相手と比べてどうかという視点を忘れてはなりません。前述の「顧客の視点」で言うならば、競合先の製品(サービス)を選択している人は「なぜその競合先を選択したのか」を追求していくのです。ここでは、競合先を漫然と捉えるのではなく、具体的な社名を挙げ、その競合先との比較において「何が自社の強みか(何が顧客の支持を得ているか)」を検討します。なお、ここで重要なのは、「競合先は同業他社とは限らない」ということです。お弁当屋さんが競合環境を把握する際、検討すべきは同業のお弁当屋さん、だけではありません。コンビニや食堂はもちろん、宅配業者等も視野に入れて比較検討しなければ「本当の強み」は見えません。「自社の強み」とは、この3つの視点を重ね合わせたところに浮かび上がってくるものです。もしも自分たちが「自社の強み」だと思っていたことが間違っていたならば、それを前提につくられた経営計画は、会社の成長を実現するどころか、存続すら危

うくするでしょう。1人の人間が成長するプロセスと同様、「自分の強み」を正確に自身が知ることは困難です。周囲の話に素直に耳を傾け、自身を見つめ直す取り組みを愚直に継続した者のみが「己を知る」ことができます。それも、年齢を重ねるごとに、時代の変化と共に、その「強み・弱み」は刻々と変化していきますので、1度捕捉できたからといってそれで終わりにはなりません。会社経営も同じです。社長や幹部の一時の思い込み、あるいは過去の成功体験のみを頼りにした経営では、ドラッカーの言葉通り、会社を誤った方向に導きかねません。「自社の強みを知る」とは、会社経営を行う上で、終わることのない取り組みであると言えるのです。Columnランチェスター戦略とは中小企業でもNO.1になれる可能性がある──。その実現可能性を高めるための戦略が、「ランチェスター〝弱者〟の戦略」です。①中小企業経営戦略の基本となる考え方ランチェスター戦略では「1番=強者」とし、「2番以下=弱者」と定義しています。そして、2番以下を圧倒的に引き離している立場にある1番を「NO.1」と呼びます。NO.1になることを目的とした理論がランチェスター戦略です。経営資源が限られている中小企業は、地域や領域、ターゲット、商品を絞り込み、そこに資金や設備、もちろん人財も集中して投下することでこそ、勝機が生まれます。つまり勝てる領域で、NO.1になるべくしてなっていく戦略を採る必要があります。市場を細分化し、部分的なNO.1を目指す。そのためには何が必要なのでしょうか?②差別化×集中×接近戦の三位一体で相乗効果を生む自分の会社が勝てる部分を見つけ出し、重点化する「集中」。集中とは人的工数や資金などの経営資源を競合する他社よりも多く投入する「量的な優位性」を意味します。経営資源を集中的に投入するのですから勝たなければなりません。そのためには、競合他社にはない独自性等の「質的な優位性」を構築する必要があります。このことを「差別化」と呼びます。差別化できても、それが顧客ニーズに沿っていなければ価値はありません。どの商圏に、どのような顧客がいて、どのようなニーズを持っているのか?それをいち早く発見し、差別化された商品やサービスを提供していくこと。この顧客とのコミュニケーションをランチェスター戦略では「接近戦」と呼んでいます。もちろん、接近戦でも「量と質」が問われることは言うまでもありません。ここでの「集中」とは接近すべき顧客を絞り込むことです。このように集中した接近戦を行うことで、市場がわかり、顧客がわかり、競合他社の状況がわかります。その結果、どう差別化すれば勝てるかがわかります。ここで挙げた差別化、集中、接近戦とはそれぞれバラバラな動きではなく、相互に関連すべきものです。三位一体で相乗効果を発揮した時に集中した範囲でNO.1が実現する。これがランチェスター戦略の結論であると言っても過言ではないでしょう。●戦略の原点は、我が社の「強み、個性、魅力」(他社にもそれがあることを意識)●我が社の「強み、個性、魅力」を他社にはない「独自性」、もしくは他社にもあるが、我が社のほうがより良い「優位性」にまで磨き上げたものが「差別化」●「差別化」だけでは「価値」は生まれない。「顧客ニーズ」を把握し、我が社の「差別化」と合致させていく活動が「接近戦」●「接近戦」は顧客接点の量と質で、他社を上回らなければならない●顧客あたりの「接近戦」の量を増やすには「集中」しなければならない●「集中」した範囲で圧倒的に勝つ。勝ったら段階的に範囲を拡げ、全体勝利を目指す③「」どうすれば中小企業がNO.1になることができるのでしょうか。●市場を細分化し、商品・地域・販売経路・客層・顧客と細かく見る。1番になる可能性のある部分を見つけます。そこを集中して狙っていくのがランチェスター戦略での「一点集中主義」です。●集中すべき分野が決まれば、競合他社よりも多く経営資源(資金、人財等)を投入。集中するということは「やるべき範囲」を決めるということでもあります。●重要なのは売上を伸ばすことではなく、利益を増やすこと※⑵。短期的な売上にこだわらず、集中していくことが肝心です。営業範囲はここまでと決めたら、それ以外には行かない。チラシ等の販促物も決められた範囲内でしか配らない。一時的に売上は減るかもしれませんが、利益は増えます。時間はかかるかもしれませんが、売上はいずれ逆転することでしょう。弱者には弱者の戦略があります。目的はNO.1になることです。●差別化は質的優位性●集中は量の優位性●接近戦は顧客接点の質と量の優位性質と量をどう優位にしていくかを見極めれば、NO.1になれるのです。それぞれの企業には個々の状況がありますが、差別化、集中、接近戦ができない企業はありません。弱者の戦略でもあるランチェスター戦略は中小企業にとって最も使いやすい戦略と言えるでしょう。(参考:戦国マーケティング株式会社福永雅文氏)※⑵…営業社員の評価方法を変更する必要があるかもしれません。もしも、現在の評価基準が売上ベースなら、これを利益ベースに変えることで、営業の意識や営業活動の質も変わってきます。経営戦略を変える際には人事評価制度の変更も十二分に検討すべきです。

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