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外を飾るより、内を清めよ


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■引用原文(日本語訳)

愚か者よ。螺髪を結うて何になろう。かもしかの皮をまとって何になろう。
おまえは内に密林(=煩悩)を秘め、外側ばかりを飾っている。

(『ダンマパダ』第394偈|第二六章「バラモン」)


■逐語訳

  • Kiṃ te jaṭāhi dummedha:愚か者よ、螺髪(髪型)に何の意味があるのか?
  • Kiṃ te ajinasāṭiyā:かもしかの皮(外衣)に何の意味があるのか?
  • Abbhantaraṃ te gahanaṃ:おまえの内面には密林(=煩悩の巣)がある
  • Bāhiraṃ parimajjasi:それなのに外見ばかり磨いているのだ

■用語解説

  • 愚か者(dummedha):知恵がなく、真理を理解しない者。形式にとらわれる人。
  • 螺髪(jaṭā):修行者や苦行者が結う髪。宗教的な権威や伝統の象徴。
  • かもしかの皮(ajinasāṭiyā):苦行僧がまとった衣装で、修行者の印とされる。
  • 密林(gahanaṃ):ここでは心の奥深くに潜む煩悩、迷い、怒り、欲望の象徴。
  • 外側を飾る(bāhiraṃ parimajjasi):見た目・印象・形式を整えるが、内面の浄化には取り組まない姿勢。

■全体の現代語訳(まとめ)

愚かなる者よ、いかに髪を宗教的に結おうとも、いかにそれらしい衣装をまとっていようとも、それ自体には本質的な意味はない。
お前の内側に欲望や怒り、偽りといった“密林”を宿しているならば、どれだけ外見を飾っても、それは真の修行者とは言えない。


■解釈と現代的意義

この偈は、外見・形式・演出によって自分を取り繕うことの虚しさを鋭く指摘しています。
仏教では、真理の追求とは「内なる煩悩の克服」にこそあるとされます。
現代社会でも、「見せ方」や「外面の整え方」に過剰にこだわる風潮がありますが、人格や信頼は内面の誠実さと清潔さによって決まるものです。

この偈は「中身を磨け」という強烈なメッセージを投げかけています。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
ブランドと実態の乖離パッケージや広告だけを整えても、サービスや商品に誠実さがなければ顧客の信頼は続かない。
人間関係における信頼外見や言葉づかいが丁寧でも、心の中に打算や自己保身があれば、信頼関係は築けない。
組織文化の健全性表向きはコンプライアンス遵守を掲げていても、内側で責任逃れや忖度が蔓延していれば持続しない。
リーダーシップリーダーは肩書きや威厳よりも、「内面の正直さ」と「言行一致」でチームを導く必要がある。

■心得まとめ

「見せかけではなく、心の本質を磨け」
あなたがどんな肩書きを持ち、どんな服を着ていても、
もし心の奥に怒り・欲・偽りが渦巻いているなら、
それは見せかけの威厳でしかない。
清らかさとは、外にあるのではない。
静かに内を整える努力――そこにこそ、真の信頼と尊厳が宿るのです。


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