目次
📜 引用原文(日本語訳)
第二二章 地獄 三一五偈
辺境にある、城壁に囲まれた都市が内も外も守られているように、そのように自己を守れ。瞬時も空しく過すな。時を空しく過した人々は地獄に堕ちて、苦しみ悩む。
――『ダンマパダ』第二二章「地獄」三一五偈
🔍 逐語訳
- 辺境にある都市:敵からの襲撃を警戒し、厳重に守られた町。比喩的に、無常で危険な世間を表す。
- 城壁に囲まれた:防御を整え、堅固にしてある状態。心身を規律と注意で守ることの象徴。
- 内も外も守られている:感情や欲望(内)と、誘惑や害(外)の両方に対する防備が整っている状態。
- 自己を守れ:自制と意識によって、自身の行動・思考・信念を守ること。
- 瞬時も空しく過すな:わずかな時間であっても、無意味・無目的に流さないようにせよ。
- 時を空しく過した人々:怠惰や放逸によって、人生を浪費してしまった者たち。
- 地獄に堕ちて苦しむ:その果報として、精神的・霊的な苦しみに陥る。
🧩 用語解説
- 自己を守る(アッタン・ゴーペ):仏教で最も重視される教えの一つ。感覚・言葉・行為・心を整え、内面的な秩序を保つこと。
- 瞬時も空しくするな(マーチュ・カンカニーカ):時間の貴さを説く仏教の根本的な教え。「今この瞬間」が最も重要であるという真理。
- 地獄(ナラカ):仏教における輪廻世界の中で最も苦しみに満ちた領域。怠慢や放逸もその因となる。
🗣️ 全体現代語訳(まとめ)
辺境に建つ都市が、内外ともに万全の備えをして守られているように、私たちも自らの心と行動を常に警戒し、守らねばならない。
そして、一瞬たりとも無意味に時間を浪費してはならない。
時間を空費し、怠惰に生きた者は、やがて苦悩に満ちた状態――精神的な「地獄」へと落ちていく。
🧠 解釈と現代的意義
この偈は、「自己管理と時間意識の徹底」を教えています。
私たちは日常の中で、欲望や誘惑に囲まれ、無自覚に時間を浪費しがちですが、それが習慣化すれば、自己喪失・後悔・焦燥といった“内なる地獄”を招くことになります。
だからこそ、自分の心を城壁で囲うように護り、今この瞬間を価値あるものとして生きる努力が必要だと説いています。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
自己管理 | 外部の情報・誘惑・感情に振り回されず、自分の目標と行動原理を明確に保つことが重要。 |
時間意識 | 「少しの無駄」も積み重なれば致命的。無為な時間を減らす意識が成長を左右する。 |
情報セキュリティ | 「内(内部統制)」と「外(外部脅威)」の両面をガードする情報管理体制は、企業の命綱。 |
生産性と集中力 | 常に緊張して働けという意味ではなく、「一瞬一瞬を意識的に生きる」姿勢が成果を生む。 |
🧘 心得まとめ
「心に城壁を築き、時を聖域とせよ」
外からの誘惑、内からの怠け心――それらが心の都を襲うとき、
備えなき者は簡単に陥落し、人生の真価を失ってしまう。
だからこそ、一瞬をも空費せず、自らの意識と行動を守ること。
それが、地獄を避け、光ある人生へ至る門なのです。
コメント