目次
■引用原文(ダンマパダ 第二〇章「道」第273偈)
もろもろの道のうちでは〈八つの部分よりなる正しい道〉が最もすぐれている。
もろもろの真理のうちでは〈四つの句〉(=四諦)が最もすぐれている。
もろもろの徳のうちでは〈情欲を離れること〉が最もすぐれている。
人々のうちでは〈眼ある人〉(=ブッダ)が最もすぐれている。
■逐語訳
- あらゆる道の中で、八正道が最も優れている。
- あらゆる真理の中で、四諦が最も優れている。
- あらゆる徳行の中で、欲望から離れることが最も優れている。
- あらゆる人間の中で、**眼(智慧)ある人(ブッダ)**が最も優れている。
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
八正道(はっしょうどう) | 正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定からなる、苦しみを超えるための実践の道。 |
四諦(したい) | 苦諦・集諦・滅諦・道諦の4つの真理。人生の苦しみ、その原因、苦しみの消滅、そしてそのための道を説く。 |
情欲の離脱 | 感情的な欲望(とくに五欲)からの自由。精神的な清らかさと集中をもたらす。 |
眼ある人 | 真理を見る「智慧の眼」を持つ者。仏陀や聖者など、真理に目覚めた人。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
多くの道や価値観がある中で、仏陀は「最も価値あるもの」を指し示します。実践の中で最も優れるのは八正道であり、認識においては四諦が真理の核心です。また、人として最も尊ばれるのは、欲望に支配されることなく、真理を見通す智慧を持つ人間であると説かれています。
この偈(げ)は、「最善の選択とは何か」を明示する教えでもあります。
■解釈と現代的意義
現代社会には数多くの選択肢や思想、目標がありますが、それらの中で「何が最も大切であり、根本的な価値を持つのか」を見失いがちです。
この偈は、混迷する時代の中でこそ、本質を見極めよと私たちに呼びかけています。知識の多さや利益の追求に惑わされず、**「正しい道」「根本的な真理」「欲からの解放」「真理を観る眼」**を指針とせよ――というメッセージが込められています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | ビジネス現場への応用 |
---|---|
意思決定の基準 | 多様な方法や戦略がある中で、「正しい(持続的・倫理的な)道」は何かを見極める眼が必要。八正道的思考(正見・正精進など)は、誤った判断を避ける力になる。 |
価値観の優先順位 | 売上や競争に惑わされず、根本的なミッションや顧客価値(=四諦に相当)に立ち返ることが、信頼と継続性を生む。 |
人材評価 | 数字や結果以上に、「本質を見抜く洞察力と欲に左右されない冷静さ」を持つ人材こそが、リーダーとして最も貴重。 |
欲望との向き合い方 | 成果・報酬への欲求が過剰になると不正や疲弊を招く。節度と離欲こそが、健全な組織運営につながる。 |
■心得まとめ
「真に価値あるものを知り、それを選べ」
選択肢に迷うとき、八正道・四諦・離欲・智慧ある人の姿に学び、最上の基準を選び取ろう。ビジネスの現場でも、ただ利益を追うのではなく、正道・真理・節度・洞察を軸に据えるとき、長期的な成功と尊敬は自然とついてくる。
コメント