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業績悪化の原因はどこにあったか

これとは別に、六カ月分の資金繰り表を作成してもらった。その結果、六カ月間の資金不足額が平均月商に匹敵するほどの規模であることがわかった。この深刻さについては、自分の会社に置き換えて考えれば、容易に想像できるだろう。

金融機関からの借り入れはすでに限界に達しており、これ以上の融資はほぼ期待できない状況だ。仮に借金ができたとしても、現在の状態では返済の見込みが立たない。

このまま進めば、追い詰められて高利の借金に手を出したり、融通手形を発行したりする事態に陥るのは明らかだ。そうなれば、悪循環が繰り返されるだけで、事態はさらに深刻化していくだろう。

正常な手形決済に加えて融通手形の決済が重なり、高利の返済に追われる中で、さらに高利の借金や融通手形に頼らざるを得なくなる。金利負担はますます増大し、手形決済の資金が不足して賃金の遅配が始まる。こうなれば、破綻はもはや時間の問題だ。

もはや、一刻の猶予も許されない。今すぐにでも具体的な対策を講じる必要がある。この資金繰り表を社長に提示し、私の簡易な調査結果をもとに業績悪化の原因を説明したうえで、即座に経営方針を転換しなければ会社は破産するという現実を強調した。S社の業績悪化の根本的な原因は、社長自身が掲げる能率主義そのものにあったのだ。

S社の業績悪化の原因:能率主義の限界と採算性の欠如

S社の業績悪化の原因は、社長が信念を持って取り組んできた「能率主義」にありました。社長は合理化や生産効率の向上に情熱を注ぎ、工場の隅々まで目を配って無駄を排除し、最新設備への投資も惜しまず行ってきました。しかし、簡単な財務分析と製品の採算性分析の結果、S社の製品のうち、採算に乗っているのはわずか三分の一に過ぎないことが明らかになりました。つまり、多くの製品が赤字を生んでおり、効率を追求するだけでは改善できない構造的な問題を抱えていたのです。

さらに、六カ月間の資金繰り表の作成により、月商相当額の資金不足が発生する見込みであることが分かりました。金融機関からの借り入れは限界に達しており、新たな融資も期待できない状況です。このままでは高利の借金や融通手形といった非常手段に頼るしかなく、それは悪循環を引き起こし、会社をさらに追い詰めるだけです。金利負担が増し、資金不足が深刻化すれば、賃金の遅配などの問題が現れ、最終的には破産へと至るリスクが高まるばかりです。

この状況に直面し、私は即時の経営方針の転換が不可欠であると判断しました。S社が直面している問題は、単なる能率向上の追求では解決できないものであり、経営の根本的な方向を見直し、採算性を基軸にした戦略的な見直しが求められているのです。

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