未分類– category –
-
心の成熟が、行動に静けさを与える
「動かぬ心が真の力──誘惑と称賛に揺れぬ軸を持て」 ― 四十にして心、動かず ― 弟子の公孫丑は、孟子の政治的資質に敬意を示しつつ、こう問うた。「もし先生が斉の卿相(宰相)となり、正しい道を行えば、斉王を覇者にも王者にも導けるでしょう。ですが、... -
苦しむ民には仁が沁みる:徳は、最も速く伝わる力である
― 今こそ、やるべきとき ― 孟子はさらに力を込めて語る。王者(仁政を行う真の支配者)が現れない状態がこれほど長く続いた時代は、かつてなかった。また、これほどまでに民が虐政に苦しみ、心身ともに疲弊している時代もなかった。 孟子はこうたとえる。... -
好機を逃すな:行動には「時の勢い」が不可欠である
― 今こそ仁政を行い王道を築く好機 ― 孟子は、行動において「時勢を読む」ことの重要性を説く。彼は斉のことわざを引用してこう語る――「いくら知恵があっても、勢いに乗ることにはかなわない。どれだけ農具があっても、耕すには時期を待たねばならない」。... -
英雄の業績は「時代と環境」によって制約される
― 評価には歴史的背景への洞察が欠かせない ― 文王の偉大さをもってしても、なぜ王道を実現できなかったのか。孟子はその理由を「時代と背景の制約」に求めた。 殷は、初代・湯王から中興の祖・武丁まで、六~七代にわたり賢君が続いた王朝だった。これだ... -
歴史を見抜く眼を養う:名声の陰にある“志の到達点”を見よ
弟子の公孫丑は、なおも食い下がるように問うた。「管仲は君主を覇者にし、晏子は君の名を天下にとどろかせました。それでも不十分だとおっしゃるのですか?」 孟子は即座に答える。「その通りだ。斉のような強国であれば、覇者ではなく王者になることなど... -
人を安易に評価してはならない:本質は立場ではなく志に宿る
弟子の公孫丑が孟子に「斉国で要職に就かれたら、管仲や晏子のような名宰相になれるのでは?」と尋ねた。しかし孟子は、その問いかけをたしなめるように、歴史上の偉人を引き合いに出すことの浅薄さを諭す。 たとえば、かつて曾子の子・曾西は「あなたと子... -
人の思惑を超えて、すべては天のなすところ
― 運命にゆだね、為すべきことを為して待つ 孟子に仕える高弟・**楽正子(がくせいし)**は、魯の平公に働きかけ、恩師・孟子と会見させようと奔走した。平公もその気になり、実際に出向くつもりで馬車の準備まで整えていた――しかし、取り巻きの臧倉(ぞう... -
間違いを正すには、知と礼を尽くした言葉で
― 恩師を思う心が、王の誤解を解く力になる 前項では、魯の平公が側近の臧倉の言葉をうのみにして、孟子に会うのを取りやめてしまった場面が描かれました。この章では、それを見た孟子の高弟・**楽正子(がくせいし)**が、毅然として諫言に立ち上がります... -
軽々しく周囲に流される者に、リーダーの器はない
― 決断すべき時に他人の口を伺うなかれ 魯(ろ)の平公が、馬車の用意を整えて出かけようとしていた。それを見た取り巻きの臧倉(ぞうそう)が問うた。 「君がお出かけの際は、いつも有司(役人)に行き先を命じられていたのに、今日はその命が下されてい... -
自らを守るために、民を犠牲にしてはならない
― 君子は民を「手段」にせず、「共にある」ことを選ぶ 文公が孟子に訴えた。「我が国は小国であり、力を尽くして大国に仕えても、圧迫や侵略を免れられません。どうしたらよいでしょうか?」 孟子は、かつて周の大王(文王の祖父)が体験した歴史を語る。...