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相手の心に“仁”を見つけ、それを伸ばすのが本当の導き
孟子は斉の宣王に向かって、ある逸話を引き合いに出す。 ある日、王が御殿の上に座していたとき、儀式用の鐘に血を塗るために引かれていく牛の姿を見た。 王はその様子を見て問いかける: 「その牛はどこへ連れていくのか?」 「鐘の開眼儀式のためです」... -
知りたいことではなく、知るべきことを話す――孟子の対話術
「守る力が王者の資格──仁こそが最強のリーダー資質」 斉の宣王は、春秋時代の覇者である斉の桓公と晋の文公について語ってほしいと孟子に求める。 しかし孟子は、あえて次のように答える。 「孔子の流れをくむ人たちは、桓公や文公のことを語りません。だ... -
民は、仁ある王を水のように自然に求める
孟子は襄王に向かって、こう語りかける: 「王よ、苗のことをご存じでしょうか?」 七月・八月、日照りが続くと苗は立ち枯れてしまう。しかし、天が油然と雲を起こし、沛然と雨を降らせれば、枯れた苗もまた浡然と(むくむくと)蘇る。 この様子は、誰にも... -
天下を得るのは、仁を好み、人を殺すことを憎む者である
孟子は、恵王の跡を継いだ梁の襄王に謁見したが、その人物に王としての威厳を感じられなかった。 面会を終えた孟子は、ある人にこう語る: 「遠くから見ても王らしく見えず、近づいても畏敬の念を感じなかった」 その襄王が唐突に尋ねてきたのは、「天下は... -
仁ある者には、敵などいない
孟子は、恵王が仇敵と見なす秦や楚のような強国について、こう語る。 それらの国々は: 民が農業で最も忙しい「時(とき)」を奪い、 過酷な夫役を課して、親を養うこともできなくし、 その結果、父母は飢え凍え、 兄弟・妻子は離散し、家庭も社会も崩壊し... -
小国でも、仁政を行えば大国に勝つ
孟子は恵王の「仇を討って恥をすすぎたい」という願いに対し、こう答える: 「領地がたとえ百里四方しかなくても、王者になることはできる」 それは軍備によってではない。仁政を民に施し、民の心を得ることによってである。 刑罰をできるだけ軽くし、 税... -
仇を討って恥を晴らしたい――それは本当に「王の道」か?
梁の恵王は、かつて強国だった自国(晋)の衰退を語り、心中の屈辱を打ち明ける。 自分の代になってからは: 東では斉に敗れて、長男を失った。 西では秦に七百里もの領土を奪われた。 南では楚に敗れて、辱めを受けた。 恵王はこれを「恥」と感じ、「亡き... -
生きた民を飢えさせる政治は、人形よりも残酷である
孟子は、孔子(仲尼)の次の言葉を引用する。 「最初に俑(よう)を作って死人と共に埋める風習を始めた者は、子孫を残せないだろう」 この言葉には、人に似せた人形を“死のため”に用いることがいかに不道徳であるかという孔子の価値観が込められている。... -
飢える民がいる限り、王は民の父母とは言えない
孟子は、王の暮らしぶりと民の現状の対比から、強い非難を込めて言う。 王の調理場には脂の乗った肉が並び、馬屋には肥えた馬がつながれている。しかしその一方で、民は飢えに苦しみ、野には倒れて死んだ者(餓莩)が転がっている――。 このような政治のあ... -
政治で民を殺すのは、刃で殺すのと同じである
梁の恵王が、「私は心静かに先生の教えを受けたい」と語りかけると、孟子はすかさず問いを投げかける。 「人を殺すのに棒(梃)で叩き殺すのと、刃物で斬って殺すのとに違いはありますか?」 恵王が「どちらも殺すことに変わりはない」と答えると、孟子は...