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志が正しければ気は従う。しかし、気もまた人を動かす
― 不動心のためには、志を鍛え、気を大切にせよ ― 前章で孟子は、「千万人といえども我ゆかん」と語る曾子の言葉を紹介し、“正義に根ざした行動こそ真の勇”であると述べた。 その言葉を受けて、公孫丑はさらに問う。「先生と告子では、どちらも“不動心”を... -
真の勇とは「自らに問うて正しければ恐れず進む」ことである
― 勝敗ではなく、道理によって立つ ― 孟子は前項に続き、二人の勇士――孟施舎と北宮黝――の“勇の質”を再び論じる。孟施舎の勇は孔門の曾子(そうし)に、北宮黝の勇は子夏(しか)に似ているという。 この二人のどちらの勇が優れているかは断じ難いが、「自... -
恐れなき心は鍛えることができる
「恐れず屈せず──“二つの勇”を養う」 ― 勇気とは「勝つ」ことより「恐れない」こと ― 前項で孟子が「四十にして心を動かさず」と語ったのを受け、公孫丑はさらに問いを深めた。「そのような“心を動かさない”ための修行法はあるのですか?」 孟子は、二人の... -
心の成熟が、行動に静けさを与える
「動かぬ心が真の力──誘惑と称賛に揺れぬ軸を持て」 ― 四十にして心、動かず ― 弟子の公孫丑は、孟子の政治的資質に敬意を示しつつ、こう問うた。「もし先生が斉の卿相(宰相)となり、正しい道を行えば、斉王を覇者にも王者にも導けるでしょう。ですが、... -
苦しむ民には仁が沁みる:徳は、最も速く伝わる力である
― 今こそ、やるべきとき ― 孟子はさらに力を込めて語る。王者(仁政を行う真の支配者)が現れない状態がこれほど長く続いた時代は、かつてなかった。また、これほどまでに民が虐政に苦しみ、心身ともに疲弊している時代もなかった。 孟子はこうたとえる。... -
好機を逃すな:行動には「時の勢い」が不可欠である
― 今こそ仁政を行い王道を築く好機 ― 孟子は、行動において「時勢を読む」ことの重要性を説く。彼は斉のことわざを引用してこう語る――「いくら知恵があっても、勢いに乗ることにはかなわない。どれだけ農具があっても、耕すには時期を待たねばならない」。... -
英雄の業績は「時代と環境」によって制約される
― 評価には歴史的背景への洞察が欠かせない ― 文王の偉大さをもってしても、なぜ王道を実現できなかったのか。孟子はその理由を「時代と背景の制約」に求めた。 殷は、初代・湯王から中興の祖・武丁まで、六~七代にわたり賢君が続いた王朝だった。これだ... -
歴史を見抜く眼を養う:名声の陰にある“志の到達点”を見よ
弟子の公孫丑は、なおも食い下がるように問うた。「管仲は君主を覇者にし、晏子は君の名を天下にとどろかせました。それでも不十分だとおっしゃるのですか?」 孟子は即座に答える。「その通りだ。斉のような強国であれば、覇者ではなく王者になることなど... -
人を安易に評価してはならない:本質は立場ではなく志に宿る
弟子の公孫丑が孟子に「斉国で要職に就かれたら、管仲や晏子のような名宰相になれるのでは?」と尋ねた。しかし孟子は、その問いかけをたしなめるように、歴史上の偉人を引き合いに出すことの浅薄さを諭す。 たとえば、かつて曾子の子・曾西は「あなたと子... -
人の思惑を超えて、すべては天のなすところ
― 運命にゆだね、為すべきことを為して待つ 孟子に仕える高弟・**楽正子(がくせいし)**は、魯の平公に働きかけ、恩師・孟子と会見させようと奔走した。平公もその気になり、実際に出向くつもりで馬車の準備まで整えていた――しかし、取り巻きの臧倉(ぞう...