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自分の立場をわきまえ、理にかなった自由な進退を貫く
孟子は斉の大夫・蚳鼃(ちあ)に対して、「あなたが霊丘の長官を辞めて、諫言も可能な司法職(士師)を求めたのは立派なことです。王に進言するための職を選んだのですね」と語りかけた。だが、数か月が経っても蚳鼃は王に諫言せずにいた。孟子はその責務... -
相手を責めず、気づかせることで自覚と反省を引き出すのが、賢者の話術
ある日、孟子は斉の王に謁見し、こう語った。「王様の領内で、大きな都市を治める五人の大夫を私は知っていますが、自分の責任と罪を自覚しているのは、孔距心だけです」と。 それだけ言って、孟子は孔距心とのやり取りを静かに語り聞かせた。すると、王は... -
自分に任された人々が苦しんでいるなら、それを見過ごすのもまた罪である
前節で孟子が語った「職務を怠る兵士は処分すべき」という問いに大夫が頷いたことを受け、孟子は今度はその視点を彼自身に向ける。 「あなた自身もまた、隊列を離れていないか? 凶作や飢饉の年には、あなたの管轄する地域で老人や病人が餓えて溝に倒れ、... -
小さな役目でも怠れば処罰される。それ以上の立場なら、なおさら責任は重い
孟子が斉の領地である平陸を訪れたとき、そこの大夫(長官)にこう尋ねた。「あなたの部下で、ほこを持って警備にあたる兵士が、一日に三度も隊列を離れて職務を怠ったとしたら、どうしますか?」大夫は即答した。「三度も繰り返さなくとも、すぐに処分し... -
君子は、必要な支援は受けても、私利のための金品には屈しない
前項の疑問に対し、孟子は明確に答える。「すべては文脈により正しい」と。 孟子は、宋では遠方への旅に出る際に贐(せんべつ)を受け取った。これは儀礼として当然であり、使者の言葉にも「餞別である」と明記されていた。また、薛では危険があったため、... -
援助を受けるかどうかは、金額ではなく、関係性と状況によって判断する
弟子の陳臻が孟子に尋ねた。「斉で王から百鎰(りつ)の金を贈られた際には受け取られませんでしたが、宋では七十鎰、薛では五十鎰の贈り物を受け取っておられます。もし斉での受け取らなかった対応が正しいのなら、宋と薛での受け取りは不正であり、逆に... -
真のリーダーは、師を呼びつけず、学びに赴く謙虚さを持つ
孟子は言う。大きなことを成し遂げようとする君主には、必ず“自ら出向いて教えを乞うべき臣下”がいる。彼らを呼びつけてはならない。それは、君主が徳と道を尊び、自らを律し続ける覚悟があることの証明でもある。 殷の湯王は、賢者・伊尹をただの臣下とし... -
人の価値は地位ではなく、徳の高さで測られる
景子は、孟子の前回の振る舞いが「礼」に反しているのではないかと問う。礼の教えでは、「父が呼べばすぐ応じ、君が命じて召せば車の支度を待たずして向かう」とされる。孟子は当初、朝廷に出向くつもりでいたにもかかわらず、王からの召しに逆らうような... -
真の敬意とは、信念に裏打ちされた言動にあらわれる
景子は孟子に対して、「君臣の礼においては“敬”が要である。王が先生を敬っているのは見たが、先生が王を敬している様子は見えない」と問いかける。 それに対し孟子は、即座に鋭く返す。「それはとんでもないことを言われた。斉の人々は、仁義の道をもって... -
形式ではなく、筋を通すために「意地」を張るときもある
孟子が王からの招きに仮病を使って断った翌日、今度は弔問に出かけようとする。弟子の公孫丑が「昨日は病を理由に朝廷を断ったのに、今日外出するのはまずいのでは」と心配するが、孟子は毅然とこう答える。「昨日は本当に病んでいた。今日は回復した。だ...