未分類– category –
-
静かな所作に、心の落ち着きが宿る
── 動作一つにも、品位と節度を込めて 孔子は、車に乗るときでさえ、礼を欠くことはなかった。乗車の際には、必ずまっすぐに立ち、両手で吊り革(綏)をしっかりと握り、落ち着いてゆっくりと乗られた。急いだり、雑な動きをすることなく、その一連の動作... -
くつろぎの中にも礼節を忘れない
── 日々の所作に、心の品格があらわれる 孔子は、どんなに私的でくつろいだ場面であっても、常に礼を忘れずに生活していた。眠るときでさえ、亡骸のように手足を伸ばして仰向けに寝る「尸(しかばね)」の姿勢は避けていた。家で過ごすときには、自然体で... -
友との情は、かたちよりも心にこそ宿る
── 礼を越えて、まごころで向き合う関係 孔子は、友人との関係において、礼を大切にしながらも、その根底にある「まごころ」を何より重視していた。あるとき、友人が亡くなり、その遺体を引き取る者がいないと聞くと、孔子は「私のもとで殯(かりもがり)... -
礼とは、知ったふりをせず、問いながら進むこと
── 敬意とは、謙虚に学び続ける姿勢にあらわれる 孔子が魯の始祖・周公を祀る大廟(たいびょう)に入り、儀式に参列したときのこと。その場での孔子は、すべての所作において自分の判断で進めることなく、ことあるごとに年長者や先達に問いかけ、確かめな... -
敬は細部にあらわれ、忠は行動にあらわれる
── 君に仕える心は、日々のふるまいに宿る 孔子は、君主に対して常に最大限の礼を尽くし、その敬意は形式にとどまらず、行動の一つひとつににじんでいた。君主から料理を賜ると、必ず姿勢を正し、居ずまいを整えてから慎重に口にされた。生肉を賜った場合... -
まず人の無事を問う
── 物よりも、人を思いやる心が徳の礎となる ある日、孔子の馬小屋が火事で焼けた。その知らせが孔子に届いたのは、朝廷から帰宅された直後のことであった。そのとき、孔子が最初に口にしたのは――「人にけがはなかったか」という一言であった。焼失した馬... -
礼は、形だけでなく、誠意と正直さに宿る
── 感謝を述べるときこそ、まごころを込めて 孔子は、礼を尽くす際、決して形式に終わらず、真心を伴わせることを何よりも重んじていた。他国へ使者を送り出すときは、深く二度頭を下げる「再拝(さいはい)」の礼で見送り、心からの敬意を込めて旅立ちを... -
近しい場こそ、礼を忘れずに
── 日常の中の敬意が、人としての品格を築く 孔子は、地域でのささやかな集まりや儀式においても、決して礼を怠らなかった。町内での酒宴では、自らが先に立って退席することなく、杖をついた年長者が退出してから静かに席を立たれた。また、郷土の厄払い... -
食の節度は、身と心を整える作法
── 口にするものは、敬意と節度で選ぶ 孔子は、食事についても一貫して礼と節度を守り、慎ましくも明確なこだわりをもっていた。白米でも玄米でもよく、手をかけた細かい料理(膾)も好まれたが、決して贅沢を追わず、清潔さと調和を重んじていた。 たとえ... -
小さな所作にも、礼の心を宿す
── 些細なふるまいこそ、その人の本質をあらわす 孔子は、座るという日常的な動作一つにおいても、礼を欠くことはなかった。たとえば、座席に着く際には必ず敷物を整え、位置がきちんとしていなければ決して座らなかった。それは、目に見えにくい細部への...