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民を損ねて身を養うは、身を割って食うに等しい
太宗は、君主の道とはまず民を思うことだと説いた。もし人民を犠牲にして自らの快楽を追えば、それは自分の股の肉を削いで腹を満たすようなものであり、やがては己を滅ぼす。国を治めるには、まず己の身を正すことが不可欠だ。上に立つ者が正しければ、下... -
「縁に随い、位に素する」――人生を穏やかに渡るための浮き袋
仏教の「随縁(ずいえん)」――すなわち、与えられた縁に従い、自然に身をまかせること。儒学の「素位(そい)」――すなわち、自分に与えられた地位や本分を守り、そこに誠実に尽くすこと。 この**「随縁」「素位」**という四文字は、人生という広く長い海を... -
足るを知り、自由に楽しむ――隠者の理想の暮らし
お茶は、必ずしも極上の茶葉でなくてもいい。けれど、茶壺に葉が絶えることのないようにしておく。酒もまた、上等で芳醇なものでなくて構わない。だが、いつでも一杯分はあるように満たしておく。 琴は飾り気のない素朴なもので、弦が張っていなくてもよい... -
外の寒暖よりも、内なる動揺を鎮めよ
四季の寒さや暑さ――それは衣を替えたり、暖をとったりすることで、比較的容易に対処できる。 けれども、人の世の「情の熱さ冷たさ」、つまり、人間関係の移り気や冷酷さ・厚情には、なかなか心が揺さぶられてしまうもの。 たとえそれらの人情の変化をある... -
減らすことは、自由への第一歩
人生において「少し減らす」ことを意識するだけで、その分だけ、世俗の煩わしさやトラブルから自然と離れることができる。 たとえば――人付き合いを減らせば、人間関係に伴う面倒ごとも減り、言葉数を減らせば、失言や誤解も減っていく。思慮を減らせば、過... -
渦中にあっても、心は一歩外に――それが君子の姿勢
海が大荒れし、大波が天に届くかのようなとき――その船の中にいる人たちは、意外にも冷静で平気でいる。しかし、船の外からそれを見ている者の方が、その危険さに心を凍らせ、肝を冷やしている。 また、酒癖の悪い人が酒席で暴言を吐き、大声で怒鳴っていて... -
仏門に入ったからといって、心まで清らかとは限らない
一見、神聖で清らかに見える仏門の世界。しかしその中には、現実からの逃避や感情の暴走によって飛び込んだ者も少なくない。 たとえば――男に執着し、情欲に溺れた女性が、心の混乱を矯(た)めようとするあまり、極端に振れて尼となる。 また、感情的での... -
平穏無事こそ、最大の幸福である
世の中でひとたび何か「事(こと)」が起これば、たとえそれが善きことであっても、必ず同時に“弊害”が生じる。ゆえに、真に幸せな世とは、何事も起こらず、静かに時が流れている状態である。 古人の詩には、次のような句がある―― 「君に勧む。封侯(ほう... -
人生の糸は、自分の手で握れ
人の一生は、ある意味では「傀儡(くぐつ)」――糸で操られる操り人形のような存在かもしれない。だが、その糸の“根元”を自分自身の手でしっかりと握っていれば、巻いたり伸ばしたり、歩くも止まるもすべて思いのまま。自分の意志で、自分の道を決めて進む... -
理由なき幸運は、天の“餌”か、人の“罠”かもしれない
自分の力や努力によらない、思いがけない幸運や授かりもの――それがもし自分に見合わないものであれば、それは天(自然の摂理)が人を試すために差し出した“釣り餌”か、あるいは人の仕掛けた“巧妙な罠”である可能性がある。 このことに対して、常に目を高く...