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民に慕われれば、敵などいなくなる
― 真の王者とは、天下の敵をつくらぬ「天の代行者」である ― 孟子は、前章で説いた五つの政治の要点(人材登用・商業・交通・農政・住宅政策)を受けて、こう語る。 「もし、誠実にこの五つのことを実行できたならば――」 その時、周囲の国の民までもが、そ... -
民が悦ぶ国づくりとは、軽い税と公正な人材登用から始まる
― 財を奪うより、人心を得よ ― 孟子は、民の心を得る政治について次のように説いた。 人材登用:賢を尊び、能を用いる君主が賢者を尊び、有能な人物を実際に政治の場に就かせれば、天下の士(し)、すなわち有志ある知識人・人材は皆悦び、その朝廷に仕え... -
禍も福も、自分の行いが招くもの
― 国を治める者は、平穏な時こそ慎みを忘れるな ― 孟子は語る。「今、もし国家が平穏無事であったとしても――その時に、これをよいことにして遊び怠り、享楽にふけるようなことがあれば、それは自ら災いを呼び込むようなものだ」。 人はとかく、「平和な時... -
侮られたくないなら、まず己を治めよ
― 仁を備えた国は、力によらずして畏敬される ― 孟子はこう語る。「仁あれば栄え、不仁あれば辱められる」――これは、国の盛衰もまた、政治の善悪、道義の有無に根差しているという意味である。 ところが世の中には、屈辱を受けるのを嫌いながら、不仁にと... -
人の上に立つ者よ、力でなく徳で人を服せよ
― 覇者は従わせ、王者は慕われる ― 孟子はこう語る。「力をもって仁(じん)を仮(か)る者は、覇者である」――つまり、力で人々を押さえつけながら、あたかも仁政を行っているかのように振る舞う者のことだ。 そのような覇者は、大国であることが前提とな... -
同じ人間とは思えぬほど――孔子の徳の高さと、時代を越える存在感
― 聖人のなかでも、さらに抜きん出た存在 ― 前章で孟子は「人類が生まれて以来、孔子のような人物は現れていない」と断言した。それを受けて、公孫丑はさらに踏み込んで問う。 「では、その“他の聖人と異なる”点を、あえて教えていただけますか?」 孟子は... -
唯一無二の存在、それが孔子である
― しかし、義を貫く心は皆同じ ― 公孫丑は前項の話に続けて、なおも疑問を抱き、孟子に尋ねる。「伯夷(はくい)や伊尹(いいん)と孔子は、同列に並ぶ存在なのですか?」 孟子は、きっぱりと否定した。「いいえ。人類がこの世に誕生して以来、孔子ほどの... -
時と場を見極め、柔軟に道を歩む――それが孔子の生き方
― 聖人の道に上下はなく、志の方向が違う ― 公孫丑は孟子にさらに問いかけた。「では、伯夷(はくい)や伊尹(いいん)については、どのようにお考えですか?」 孟子は、二人の聖人の行いを比べながら、以下のように整理して語る: 伯夷の生き方:義に殉じ... -
偉人を分けて比べるなかれ――人の価値は簡単に測れるものではない
― 敬意なき比較は、学びの妨げになる ― 前章で、孟子は自らを聖人とは認めず、謙虚な姿勢を貫いた。それを受けた公孫丑は、さらなる探究心から、思い切ってこんな質問をした―― 「私は以前、誰かからこのような話を聞いたことがあります。子夏・子遊・子張... -
「聖人」など思いもよらぬこと――称賛されてもおごらぬ心
「聖は語らず──学び倦まず、教えを厭わず」 ― 真の偉大さは、謙虚の中にあらわれる ― 公孫丑は、孟子の徳行と言語力の両面に感銘を受け、思わずこう言った。「孔子の弟子の宰我(さいが)と子貢(しこう)は言語に長け、冉牛(ぜんぎゅう)・閔子(びんし...