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郷原(きょうげん)にご用心 ― 本心を隠した偽善者は、徳を害する存在である
孟子は孔子の言葉を引用しながら、**最も警戒すべき人間像=郷原(偽善者)**について鋭く論じている。この章は、「志が大きすぎて空回りする“狂者”」「孤高で潔癖な“獧者”」に続き、最も社会的には“善人”に見えるが、実はもっとも徳を傷つける存在=郷原... -
中道の徳を求めつつも、次善の人材を見出す知恵
この章は、孟子が孔子の『論語』の思想を深く解釈・継承している姿勢を示す重要な一節であり、理想的な人物像と、その次善策としての人材の捉え方に言及している。 孔子の想い ― 陳でのつぶやき 孔子が陳に滞在していたとき、こう言ったと伝えられている:... -
真の孝とは、形よりも「心の細やかさ」にあらわれる
孟子は、曾子の深い孝心を称えつつ、“敬う”とは何か、“想う”とはどういうことかを具体的に示している。この章では、曾子が父・曾晳(そうせき)の嗜好品である「羊棗(ようそう)」を、父の死後には食べることができなかったという逸話が語られる。 これに... -
心を養う第一の方法は「欲を少なくする」こと
孟子は、人格修養の核心が「欲を制すること」にあると語る。その一文はきわめて簡潔でありながら、儒家倫理の真髄を突いている。 「養心(ようしん)莫(な)くして善(よ)きは寡欲(かよく)に如(し)くは莫(な)し」→ 心を正しく養うには、欲を... -
富貴の威にひるまず、志ある道をまっすぐに歩む
孟子は、地位・権勢・財力を誇る者に対して、決してひるまず、気圧されることのない態度を説く。彼のこの章は、“見せかけの華やかさ”に惑わされず、“内なる志”こそを尊ぶべきだという強い信念に貫かれている。 孟子はまずこう言う: 「貴人と話すときは、... -
君子は正しく行い、あとは天に任せて待つのみ
孟子は、徳の実践において最も高い境地とは何かを語り、最終的に到達すべき態度を 「行法以俟命(ぎょうほう もって めいをまつ)」=正しい道を実行し、あとは天命を待つ と結論づけている。 まず孟子は、四人の聖王を二つの型に分けて解説する... -
人を責めるより、自らを正すことがすべての始まり
孟子は、言葉や実践における“本当に良いもの”の特徴を述べながら、最終的に、「自分のことを顧みず、人のことばかり気にする姿勢」を厳しく戒めている。 まず孟子は言う: 「言近くして指遠き者は、善言なり」 → 言葉は平易で身近なものであっても、そこ... -
発言は「時」と「道」によって慎むべきである
孟子は、人間に本来的に備わっている徳の芽生えを、四つの「心」として示している。 惻隠の心(そくいんのこころ): 他人の苦しみを見て放っておけない気持ち → これを広げれば仁となる。 羞悪の心(しゅうおのこころ): 不義・不正を恥じる気持ち → ... -
人を受け入れる教育は、過去よりも「志」を見る
孟子がある国に滞在し、上宮(離宮の宿舎)に宿泊していたとき、館内で事件が起こった。窓の上に置かれていた作りかけの靴(業屨)が紛失し、宿の者が探しても見つからなかったのである。 するとある人が、「先生の従者が隠したのでは」と孟子に疑いを投げ... -
才能だけに頼り、仁義を欠けば身を滅ぼす
孟子は、斉に仕官した盆成括(ぼんせい・かつ)について「彼は殺されるだろう」と厳しい予言を口にした。そして、予言は現実となり、盆成括は実際に殺された。 門人が「どうしてそれを予測できたのですか」と尋ねると、孟子はこう答える: 「彼は少しばか...