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人民は、戦ではなく正義を望んでいる
孟子は、戦争の巧みさを誇る者を「大罪人」と断じた。なぜなら、本来、仁をもって国を治める者に敵はなく、人民は皆、平和と正義を望んでいるからである。 かつて殷の湯王が南方に軍を進めると、北方の民が「なぜ我々を後回しにするのか」と嘆き、東へ進め... -
聖典ですら、盲信してはならない
孟子は、「経典に書いてあることだから」といって、すべてを無批判に受け入れることの危うさを指摘する。『書経』の武成篇には、武王が悪王・紂を討つ戦において「血が杵(きね)を流れるほどの激戦」とあったが、それを孟子は疑う。 「仁者には天下に敵は... -
正義を掲げても、戦には義がない
孟子は、戦争に義(ただしさ)を求めることの虚しさを語った。『春秋』――孔子が記した歴史書――に記された戦いのすべてを見渡しても、「義にかなった戦争」はひとつもなかったという。 たとえ「あの戦いのほうがこの戦いよりはマシだ」と言えるものがあって... -
愛を知らぬ者は、愛すべき者すら傷つける
孟子は、仁を欠いた支配者の行いを鋭く批判する。仁者は、まず自分の身近な人を愛し、その愛を他者にも広げていく。しかし不仁者は、他者への冷酷さを、自分が大切にすべき者にまで及ぼしてしまう。 梁の恵王は、領土欲のために民を戦に駆り、血肉がただれ... -
すべきことの優先順位を誤ってはならない
孟子は、「すぐに取り組むべき本務」を見極めることの重要さを説いた。 知者(ちしゃ/賢い者)は、本来すべてを知ろうとする心を持っている。仁者(じんしゃ/思いやりのある者)も、すべてを愛そうとする心を持っている。 しかし、知者もまずは「急ぎな... -
親しみ・思いやり・愛情――その順序と対象をわきまえる
孟子は、君子が持つべき人や物との関わり方について、「親・仁・愛」の違いと順序を説いている。 君子は物に対して── 「愛」はするが、「仁」はしない。草木や動物に対して慈しみの心は持つが、必要な場面では伐採したり、屠殺したりもする。それが自然の... -
勢いだけで進む者は、また簡単に退くものである
孟子は、人の行動や志の持ち方について次のように説いている。 やめてはならないときにやめる者は、何に対しても簡単に手を引く。厚く(大切に)すべきことを薄く扱う者は、すべてを軽んじる傾向がある。そして、むやみに勢いよく進む者は、退くときもあっ... -
師に問うときは、身分や過去を持ち出さず、謙虚でなければならない
弟子の公都子が孟子に問うた。「更(こう)様は君主の弟君でありながら、先生の門下に入って学んでおられます。礼を尽くしておられるように見えますが、先生はなぜ彼の問いにろくにお答えにならないのですか?」 孟子は静かに答えた。「人が師に問いをする... -
自分の正しい道を、他人に合わせて曲げてはならない
孟子は、社会が安定していて道義が世の中に行き渡っているときには、自ら世に出て、その「道(正義・仁義)」を実践するべきだと説いた。しかし、もし天下が乱れ、道が行われていないような状況であれば、自ら身を引き、道を守りながら生きるべきであると... -
教えるとは、常に最高の理想を掲げてこそ意味がある
弟子の公孫丑は孟子にこう尋ねた。「聖人の道は高く、美しく、まるで天に登るようなものです。私たちのような凡人にはとても届かないようにも思えます。そこでお願いなのですが、せめて私たちでも日々努力すれば届きそうな、もっと手の届く教えにしてもら...