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忠義をもって縁を結べ ― 利己を捨てて道を拓く
一、原文(抄出) 御前近き出頭人には親しく仕るべき事なり。我が為にすれば追従なり。何ぞ申上げたき事ある時の階なり。もつともその人忠義の志なき人ならば無用なり。何事も皆主人の御為なり。 二、書き下し文 御前(主君のそば)近くに出仕する者には、... -
渡る前に見極めよ ― 忠義も戦略も時と場を読む
一、原文(抄出) ある出家申され候は、淵瀬も知らぬ川をうかと渡り候ては向へも届かず、用事も済まず、流れ死も仕る事に候。時代の風俗、主君の好嫌をも合点なく、無分別に奉公に乗気などさし候はば、御用にも立たず、身を亡し候事これあるべく候。御意に... -
相手の上をゆくには、別次元からの理を探せ
一、原文と逐語訳 原文: 詮議事または世間の話を聞く時も、その理もつともとばかり思ひて、そのあたりにぐどついては立越えたる理が見えず。人が黒きと云はば黒きはずではなし、白きはずなり、白き理があるべしと、その事の上に理を付けて、案じて見れば... -
勝つために折れる――口論に勝つ“静の戦術”
一、原文と逐語訳 原文: 口論の時心持の事 随分もつともと折れて見せ、向ふに言葉を尽くさせ、勝ちに乗つて過言をする時、弱みを見て取つて返し、思ふほど言ふべし。 (聞書第十一) 現代語訳(逐語): 口論のときの心がけとしては、まず「なるほ... -
淡々と読む力――判断を誤らせぬための“無私”の声
一、原文と逐語訳 原文: 羽室権右衛門目安読み候物語の事権右衛門は、公儀与力にて候を、女房、お春様ヘ乳を上げ申し候に付てお出入仕り、その後相願ひ、御家来に罷成り候。権右衛門話に、公儀御評定所にて目安の読様、節調子なしに、ぬらりと読み申し候... -
言葉に魂を宿せ――口上に“色気”を添える心得
一、原文と逐語訳 原文: 小早川隆景より、何方へ使者を以て事むつかしき口上申遣はされ候に付て、直茂公へ、「口上御指南下され候様に」と、右使者を佐賀へ遣はされ候。御面談にて口上聞召され、仰せられ候は、「御回上に申す処少しもこれなく候。ただし... -
口は徳をも損ね、信頼も得る――言葉遣いは人柄の写し鏡
一、原文と逐語訳 原文: 総じて議人を深くお嫌ひ遊ばされ候。召させられ候人など、延引の時分、「何某は未だ罷出でず候や」とお尋ね候節、「未だ罷出で申さず候」と申上げ候へば、「朋輩を倒し申す心入の者なり」と仰せられ候に付て、出仕延引の時も、「... -
同じ内容でも、言い方一つで評価は逆転する
一、原文と逐語訳 原文: 勝茂公、「お鷹師何某は、用に立つ者にて候や」と、頭人にお尋ね遊ばされ候。そのお請けに、「右の者は、不行跡者にて何の役にも立ち申さず候へども、お鷹一通りは無類の上手にて候」と申上げ候に付て、即ち御褒美下され候。その... -
見舞いの一言は、心の真価をあらわす
一、原文と逐語訳 原文: 人の難に逢たる折、見舞に行きて一言が大事のものなり。その人の胸中が知るるものなり。兎角武士はしほたれ、草臥るるは疵なり。勇み進みて、物に勝ち浮ぶ心にてなければ、用に立たざるなり。人をも引立つる事これあるなり。 逐語... -
勝負を決するのは、一言の重み
一、原文と逐語訳 原文: 大難大変の時も一言なり。仕合せよき時も一言なり。当座の挨拶話の内も一言なり。工夫して云ふべき事なり。ひつかりとするものなり。確に覚えあり。精気を尽し、かねがね心がくべき事なり。これは、めつたに話しにくき事なり。皆...