未分類– category –
-
人は一人で生きられない。社会は互いに支え合っている
真の自立とは、他者と関わることから始まる 許行の弟子となった陳相が「聖人は民と共に耕し、生活も自ら担うべきだ」と主張したのに対し、孟子は彼の主張の矛盾をつく鋭い対話を展開する。 孟子の問いとその核心 「許子は必ず穀物を自分で作るのか?」→ 「... -
思想を軽々と乗り換えるな。学びには深き根を持て
感化されやすい心では、真の知も徳も身につかない かつて儒者であった陳相は、許行の学説に心酔し、孟子にこう語った: 「あなたの国の君主は、たしかに賢い方です。しかし本当の道――神農氏の教え――は、まだ知られていないようです。真の賢者とは、民と共... -
良き政治には人が集まる。徳ある君主のもとにこそ
力によらず、人心を得てこそ、真の統治である 楚からやってきた許行は、自らを「神農の教えを伝える者」と称し、文公の仁政を聞きつけて門前までやってきた。 「私は遠方から来た者です。あなたが仁政を行っていると聞き、この国の一人の民となりたく参り... -
制度は設計だけでなく、実践で完成する
制度を潤すのは、為政者の熱意と工夫 孟子は、仁政を実現するための井田法の「大略」を語り、その実行が文公とその臣下の努力にかかっていると説いた。 土地の配分と役割の明確化 卿(大臣)以下の役人には、祭祀の費用を賄うための圭田(けいでん)50畝 ... -
人は互いの役割で生きる。仁政は仕組みと信頼から始まる
境界を正し、役割を尊重せよ。社会は分担で成り立つ 文公が孟子の教えに従い、土地制度の改革(助法導入)を進めようとしたとき、家臣の畢戦を孟子のもとに遣わし、井田法について問わせた。 孟子は言った。「あなたの君主は、仁政を志し、あなたにその実... -
教えを興し、国を新たにせよ。仁政の完成は文化にあり
生活を支え、心を育てる。それが国を「維新」する道 孟子は、俸禄の世襲制(世祿)が既に行われている以上、次に考えるべきは民に直結する税制と教育であると説く。 『詩経』にはこうある: 「我が公田に雨が降り、やがて私田にもその恵みが及ぶように」 ... -
税は民の苦しみに寄り添ってこそ、仁政となる
徴税は制度の問題ではない。心の在り方の問題である 孟子は文公に、仁ある政治のためには、生活に直結する税制をこそ慎重に考えるべきと説いた。 賢君は、人には礼をもって接し、自分には慎み深くあり、民からの徴税にも限度と節度を設ける。富を得ようと... -
民の生活を安定させよ。道徳はその上に成り立つ
飢えた民に徳は育たず。政治の急務は、暮らしの保障にある 文公が治国の道を問うと、孟子はこう答えた。「民の暮らしに関すること――特に農事や衣食住といった生存の基盤は、最優先で対応すべき急務である」と。 孟子は『詩経』を引いて、春の種まきに備え... -
真心を貫けば、人の心は自然と動く
信念をもって尽くすことが、最大の教えとなる 孟子の教えを受け、太子(後の文公)はついに決意した。「これは、すべて自分がやり尽くすかどうかにかかっている」と。そして三年の喪を行うことを定め、葬儀の五ヵ月前からは粗末な仮小屋にこもり、政務も差... -
徳は風のように下を動かす。始まりはすべて自分から
礼も感動も、上に立つ者の真心しだい 再び孟子のもとを訪れた然友に、孟子はこう言った。喪の礼をどうすべきかという問題に対して、それは他人に求めるものではなく、自分の心の尽くし方であると。 孔子もかつて説いた。君主が亡くなれば、太子は政を冢宰...