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空しい努力――自己満足の経営が生む悲劇
T産業の社長やN社の社長のような叱咤型のリーダーたちは、突出した個性と異常なまでの熱意を持ち、経営に対して真摯に取り組んでいる。知識を深めるための努力を惜しまず、全力で会社を引っ張ろうとするその姿勢には一見、感服させられる。 しかし、彼らの... -
動き回る社長が会社を停滞させる paradox(逆説)
T産業の社長、S氏は驚異的な行動力とスタミナを持つ人物だ。朝早く家を出て、日中には複数の取引先を訪問し、10時頃に営業所へ戻ると、立て続けにかかる電話に対応しながら、商談を次々と処理していく。その手際は確かに鮮やかで、社員たちを圧倒する。 し... -
「能力に合った仕事」を与えるべきという幻想
人間関係論の専門家たちはしばしば「部下にはその能力に見合った仕事を与えるべきだ」と説く。一見するともっともらしい正論に聞こえるが、実際には誤った前提に基づいた思い込みに過ぎない。この論法を真に受ければ、経営者は部下の能力を完全に把握し、... -
カウンセラー常務の功罪:システムが逆効果を生むとき
B社の社長にとって、社員たちの勤労意欲の低さと社内に蔓延する不平不満は最大の悩みだった。特に、些細な個人的な問題や自己中心的な要求が、次々と社長の元に持ち込まれる状況は、経営において深刻な障害となっていた。 「一倉さん、他の会社でもこんな... -
「僕は株主様だ」――社員持株制度が生む企業と社員の共栄
昭和40年の秋、あるトップセミナーで出会ったのがS酸工のS社長だった。セミナー後、彼が宿泊先を訪ねてきて語った話の中で、特に印象に残っているのが、同社で導入していた社員持株制度についてだった。 創業期の苦境から生まれた制度 創業間もない3年前、... -
一国一城の主を目指せる会社
N製作所は社員数わずか20名ほどの小さな会社だ。しかし、その存在感は小規模企業という枠に収まらない。「山椒は小粒でもピリリと辛い」という言葉がぴったりの、業界内でも一目置かれる存在だ。主な業務は小型の自動旋盤を使った部品加工であり、業績は堅... -
次の主役は自分――明確な未来が生む社員の活力
L社は、約20のガソリンスタンドを展開する地方の石油販売会社だ。地方都市にありながら、その業績は系列内でトップ10に位置し、収益面ではトップを占めるとさえ言われている。さらなる成長も期待され、あと数年でトップ5、さらにはトップ3入りも見据えた驚... -
顧客こそ企業の存在理由
ある石油元売会社M社のセミナーで、「自社の石油が顧客に選ばれなければ、会社は存続できない」という話をした際、参加者の一人が「それは青天の霹靂のような気づきでした」と感想を述べた。その反応に驚いたのはこちらだった。この、ごく当たり前の事実が... -
一日二回の配送で築く信頼の絆
富山県黒部市に拠点を置く東洋化成は、塩ビホースの専門メーカーとして、業界内で独自の地位を築いている。石油ショック後の不況期に一時売上が落ち込んだものの、迅速な対応と独自の戦略によって回復し、以降は右肩上がりの成長を続けている。同業他社よ... -
暴風雨の中でも顧客を最優先に
鹿児島市に拠点を置く吉岡バナナは、バナナの輸入加工業を主軸にしながら、建売住宅事業にも果敢に取り組んでいる。わずか3年前にスタートしたこの事業は、すでに地域で確固たる地位を築き上げた。その成功の鍵は、吉岡社長が掲げる「顧客サービス第一主義...