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心に徳を持つ者は、おおらかで明るい

孔子は、「君子」と「小人」の違いを、心の状態と振る舞いの質に見ていた。
君子(人格の高い人)は、心にやましさがないからこそ、坦然(たんぜん)としてのびのびとした様子であり、落ち着いていて余裕がある
一方、小人(つまらぬ人物)は、常に損得や目先の利益ばかりを気にして、内心不安で落ち着かず、いつもこせこせと落ち着かない
この対比は、何を大切にして生きているかによって、心の平穏が得られるかどうかが決まるという、孔子の深い洞察を表している。


原文・ふりがな付き引用

子(し)曰(い)わく、君子(くんし)は坦(たん)として蕩蕩(とうとう)たり、小人(しょうじん)は長(とこし)えに戚戚(せきせき)たり。


注釈

  • 君子(くんし) … 徳を備えた立派な人。高潔な人格者。
  • 坦蕩蕩(たんとうとう) … 坦(おだやか)で、蕩蕩(のびのび)とした様子。心に曇りがない状態。
  • 小人(しょうじん) … 目先の利益や損得にこだわるつまらない人。徳に欠ける人間。
  • 長戚戚(ちょうせきせき) … いつも不安げでこせこせしている様子。心が狭く、安らぎのない状態。

1. 原文

子曰、君子坦蕩蕩、小人長戚戚。


2. 書き下し文

子(し)曰(い)わく、君子(くんし)は坦(たん)として蕩蕩(とうとう)たり。小人(しょうじん)は長(つね)に戚戚(せきせき)たり。


3. 現代語訳(逐語/一文ずつ訳)

  • 「君子は坦として蕩蕩たり」
     → 君子(人格者)は、心が平らかで広々としている(=おおらかで安心している)。
  • 「小人は長に戚戚たり」
     → 小人(器の小さい人、利己的な人)は、いつも心配や不安で気持ちが晴れない。

4. 用語解説

  • 君子(くんし):徳と知を備えた理想的な人格者。儒家が目指す人間像。
  • 坦蕩蕩(たんとうとう):心が平らかで広く、堂々としているさま。澄み切った清々しい精神状態。
  • 小人(しょうじん):道徳心がなく、利己的・狭量な人物。
  • 長戚戚(ちょうせきせき):いつも不安や憂いに満ちていること。落ち着きがなく、心が狭い。

5. 全体の現代語訳(まとめ)

孔子はこう言いました:
「君子は心が安定していて、広々とおおらかである。
それに対して小人は、いつもくよくよと心配し、不安な気持ちでいっぱいになっている。」


6. 解釈と現代的意義

この章句は、内面の「心の状態」こそが人間の器量を決定づけるという儒教的価値観を表しています。

  • 君子は、自分の行動と価値観に確信があるため、心に迷いがない
  • 一方、小人は利害や世間の目にとらわれてばかりで、常に不安と焦燥に駆られている
  • この対比は、現代でも**“余裕のある人格”と“心に余裕がない人”**という形で実感されるものです。

7. ビジネスにおける解釈と適用

■「信念のある人は、ぶれない。心が広い」

──原理原則を持つ人は、多少の困難にも動じず、周囲にも安心感を与える。

■「打算と不安はセットでやってくる」

──自分の利益ばかり追えば、常に周囲と比較してしまい、不安と焦りに満ちる。

■「おおらかさは、信頼されるリーダーの証」

──部下やチームは、落ち着きと安心感を持つ上司にこそ、心を預けることができる。

■「内面的安定が、持続可能な成果を生む」

──精神が安定している人は、長期的に成果を出し続ける基盤がある。


8. ビジネス用心得タイトル

「心おおらかに、信念とともに──不安を離れて“堂々たる人”であれ」


この章句は、リーダーの内面的成熟、人間関係の安定、精神的持続力などを測る最高の指針とも言えます。

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