以下は、「売上原価の算定と期末商品の評価」についての詳細な解説です。
売上原価の算定
目次
1. 売上原価の定義
売上原価 とは、当期の売上に対応する商品の原価です。
売上原価の計算式:
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高
2. 決算整理仕訳
仕訳例
- 期首商品を繰り越す
売上原価(仕入) ××円 / 繰越商品 ××円
- 期末商品を繰り越す
繰越商品 ××円 / 売上原価(仕入) ××円
期末商品の評価
1. 棚卸減耗損
定義
- 実地棚卸数量(実際に存在する商品量)が帳簿棚卸数量(帳簿上の商品量)より少ない場合、その差額を棚卸減耗と言います。
- 減耗分の価額を 棚卸減耗損(費用) として計上し、繰越商品(資産)を減額します。
仕訳
棚卸減耗損 ××円 / 繰越商品 ××円
2. 商品評価損
定義
- 商品の正味売却価額(将来売却可能な価格)が原価を下回る場合、原価を正味売却価額に切り下げ、その下落分を 商品評価損(費用) として計上します。
仕訳
商品評価損 ××円 / 繰越商品 ××円
精算表の記入例
決算整理仕訳に基づき、精算表を作成します。
条件
- 期首商品棚卸高: 100円
- 期末商品棚卸高: 200円
- 棚卸減耗損: 20円
- 商品評価損: 54円
例1: 棚卸減耗損・商品評価損を売上原価に含める場合
売上原価の計算:
売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 + 棚卸減耗損 + 商品評価損 - 期末商品棚卸高
計算例
- 当期商品仕入高: 500円
- 売上原価 = 100 + 500 + 20 + 54 – 200 = 474円
精算表記入例
項目 | 金額(借方) | 金額(貸方) |
---|---|---|
売上原価(仕入) | 474円 | |
繰越商品 | 200円 | 100円 |
例2: 棚卸減耗損・商品評価損を独立科目として表示する場合
精算表記入例
項目 | 金額(借方) | 金額(貸方) |
---|---|---|
売上原価(仕入) | 400円 | |
棚卸減耗損 | 20円 | |
商品評価損 | 54円 | |
繰越商品 | 200円 | 100円 |
精算表における注意点
- 売上原価に含める場合:
- 棚卸減耗損や商品評価損を仕入勘定に振り替えます。
- 独立科目として表示する場合:
- 棚卸減耗損や商品評価損を別個に表示し、仕入勘定には含めません。
まとめ
- 売上原価の計算式 は、期首商品棚卸高、当期仕入高、期末商品棚卸高を基に算出します。
- 棚卸減耗損: 実地棚卸数量が帳簿棚卸数量より少ない場合に計上。
- 商品評価損: 期末商品棚卸高が原価より低い場合に計上。
- 精算表の記入方法は、棚卸減耗損や商品評価損を「売上原価に含める」か「独立科目として表示する」かで異なります。
正確な仕訳と精算表の作成が、正確な財務諸表の作成に直結します。
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