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計算づくの施しは、魂を育てない


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■引用原文(日本語訳)

「一方、見返りを望んで、または果報を意図して、渋々与えられる布施は、激質的な布施と伝えられる。」
――『バガヴァッド・ギーター』第17章 第21節

■逐語訳

何らかの見返りを望んで(プラティウパーカータム)、
あるいは報酬(果報)を得ることを意図して(ファラム・ウディシュヤ)、
しぶしぶ・不本意に(パリキリシュタム)与えられる布施(ダーナ)は、
激質的(ラージャサ)な布施とされる。

■用語解説

  • 見返りを望む(プラティウパーカ):恩を返してもらう、将来の利益につながることを期待して施す。
  • 果報を意図する(ファラ・ウディシャ):功徳・名声・天国的報いなど、宗教的・道徳的な利益を求めて施す。
  • 渋々与える(パリキリシュタム):本心から与えるのではなく、損失感・不本意・義務感にかられて嫌々行う。
  • 激質的(ラジャス)な布施:利己的な意図に基づき、落ち着きのない精神状態からなされる施し。

■全体の現代語訳(まとめ)

人からの返礼を期待したり、善行の報いとしての果報を狙って、
不本意ながらしぶしぶ行われるような施しは、
激質(ラジャス)に属する布施であり、心を浄めるどころか、むしろ執着を強める。

■解釈と現代的意義

この節は、**「施すという行為にも動機の純粋性が問われる」**ことを明確に教えています。
「与える」という一見善行にも見える行為が、見返りや評価を前提とした打算から生まれているならば、それは魂の成長とは無縁です。

現代では、「SNSでの寄付アピール」「義理での支援」「報酬付きのボランティア」なども多く見られますが、ギーターはそのような動機に基づく施しを「激質的」とし、執着と不安を深める結果になり得ると警告しています。

■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
打算的な支援相手の見返りを期待して行う援助やアドバイスは、真の信頼を生まず、時に不信や損得関係に堕してしまう。
表面的なCSRメディア露出やブランド戦略としての慈善活動は、一時的には効果があっても、持続性・信頼性に欠ける。
人間関係の損得勘定「得になるから付き合う」「自分に返ってくるから教える」といった思考が、人間関係の軽薄さを生む。
義務感・仕方なしの施し社内文化として「やらねばならないからやる」という空気が広がると、組織の士気や温かさは失われていく。

■心得まとめ

「義務や見返りの施しは、信頼を育まない」
施しの価値は、何をどれだけ与えたかではなく、なぜ与えたかに宿る。
自らの評価や利益のための施しは、たとえ豪華であっても、魂にとっては無意味である。
ビジネスにおいても、心からの無償の行動こそが、最も強く、最も深く、信頼を築く

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