目次
📜 原文(第二九章 十三)
「大食いをして、眠りをこのみ、夜も昼もころげまわって寝て、まどろんでいる人は、大きな豚のように糧を食べて肥り、愚かにも、くりかえし母胎に入って(迷いの生活をつづける)。」
🔍 逐語解釈と要点
- 大食い・眠りを好む:節制を欠いた生活。感覚欲(食欲・安楽)への執着。
- 夜も昼もころげまわって寝る:怠惰・無為・無目的な日々。時間とエネルギーの浪費。
- 大きな豚のように肥る:自己中心的な快楽追求。智慧のない欲望による成長の比喩。
- 愚かにも、くりかえし母胎に入る:悟りを得られず、迷い(輪廻)の世界に繰り返し生まれ変わる。無明と因果の循環。
🧠 解釈と現代的意義
この章句は、自己管理を欠いた生き方が、どれほど精神的に破壊的であるかを示しています。
仏教においては、五蓋(ごがい)――心の進歩を妨げる障害の一つに「睡眠・昏沈(こんちん)」があります。
過食・過眠は、心の清明さを失わせ、智慧を遮り、自己成長を止める障壁となるのです。
さらに「くりかえし母胎に入る」という表現は、「悟りに至れず、迷いの世界を永遠に繰り返す存在」を象徴します。
つまり、欲望と怠惰に流されたままでは、魂は成長せず、真の自由(解脱)には決してたどり着けないということです。
💼 ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
自己管理と習慣 | 過剰な食・休息・怠惰な習慣に支配される生活は、判断力・集中力・創造性を著しく損なう。 |
キャリアの停滞 | 目標なく惰性で生きる人は、能力があっても周囲の信頼を得られず、成長の機会を逃す。 |
マネジメント | チームの中に自己規律を欠く者が多くなると、生産性と士気が著しく低下し、全体の文化も濁る。 |
企業文化 | 快楽や楽観主義に傾倒しすぎた組織は、現実を見失い、市場環境の変化に対応できず沈むリスクがある。 |
✅ 心得まとめ
「欲望と怠惰は、魂を縛る最も甘美な鎖である」
快適さを追い求めすぎ、自己を律することを怠れば、人は容易に迷いの輪に巻き込まれます。
成長には努力と目覚めが必要であり、怠惰の中に本質的な進化はありません。
この節は、仏教的戒めの中でも非常に具体的で強い警告です。現代においても、生活習慣の乱れ、安楽の追求、慢性的な思考停止は、個人の成長も、組織の前進も阻む最も根本的な敵なのです。
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