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信じられないような業績回復

F社は社長の決断によって、革新への第一歩を踏み出した。社長と自分が役割を分担し、このプロジェクトに取り組んだ結果、わずか四カ月後にはその目標を実現するに至った。新製品の立ち上げに四カ月を要すること自体、特別なことではない。それは当然のことだ。

これまで積み重ねてきたさまざまな努力があったからこそ、可能性は最初から備わっていた。立ち上がりと言っても、大半は単なる物理的な現象にすぎない。そう考えれば、むしろできないほうが不自然だ。それに対して、従来製品をわずか四カ月で見切りをつけた判断と行動は、実に見事な手腕と言える。

得意先にとって、その製品は長年親しみ、商売の基盤としてきたものだ。今でもF社が作り続けてくれるなら、それで収益を上げられる状況にある。だからこそ、簡単に「わかった」と応じるはずがない。それにもかかわらず、その難題を乗り越え、得意先を説得して新たな道を切り開いた。この実現こそ、並々ならぬ努力と信念の結果だと言える。

F社の財務状態は、五カ月前とはまるで別物に変わっていた。五カ月後の損益計算書を初めて見たとき、ある程度予想はしていたものの、その内容をすぐには信じられなかった。数字があまりにも良すぎたのだ。どこかにミスがあるのではないかと思わざるを得ず、「もう一度検算してほしい」と依頼した。ところが、検算の結果も間違いはないという報告だった。

半信半疑のまま迎えた翌月、さらに翌々月も好収益が続いた。その時点でようやく、「これは本物だ」と確信するに至った。それほどまでに結果は劇的に違っていたのだ。この間、F社は特に合理化を図ったわけでも、能率向上のための特別な施策を講じたわけでもない。

それにもかかわらず、外注管理の問題は自然と解消された。四品種の製品が廃止されたことで外注作業が大幅に減少し、二品種の新製品に関わる外注量も、以前の半分にも満たなかったためだ。結果として、外注管理が抱えていた課題はほとんど消え去った。

先に述べたように、外注管理の混乱の原因は、管理方法の問題ではなく、外注先に能力以上の仕事を強いたことにあった。ただし、今回の解消はあくまで当面の解決に過ぎない。将来的に生産量が増加した際に備え、外注工場の能力を向上させるための手を打たなければ、再び同じような混乱が発生する可能性がある。

この期の決算では、前期に行われていた粉飾を完全に清算し、その上で大幅な黒字を達成した。これに対し、社長は「帳簿上で利益が出ても、税金を納める現金がなければ意味がない。そこまで考えてくれなければ、本当のコンサルタントとは言えない」と冗談交じりに言いながら、満足そうに笑っていた。

社長の決断と新製品の迅速な立ち上げにより、F社は見事な業績回復を遂げました。新たな製品構成への転換は、たった四カ月で実現し、F社の財務状況はまるで別会社のように変化したのです。月ごとの損益計算書を確認するたびに、当初はあまりの成果に半信半疑でしたが、継続的な好収益が確認され、ついに「本物」と確信しました。

特筆すべきは、合理化や能率向上の施策を行わなくても、業績回復が自然に成し遂げられた点です。低収益製品の廃止により外注業務が減少したことで、外注管理の問題も解消されました。これは、もともと外注業者に無理な量の仕事を課していたことが混乱の原因であったことを証明しています。今後、新製品の生産量が増加するに従い、外注工場の能力向上を進める必要があることも課題として明らかになりました。

期末決算では、前期の粉飾をすべて洗い流し、実質的な黒字を計上することができました。社長の冗談交じりの「税金を払うためのお金もちゃんと残してくれないと本物のコンサルタントとは言えない」という言葉に、今回の成功がF社全体にとってどれほど大きなものであったかが感じられます。このような劇的な変化は、社長の決断力と市場への適応力があってこそ可能だったのです。

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