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経営計画策定のプロセス

1. 顧客の要求を基軸にする

事業経営が「顧客の創造」を本質とする限り、経営計画は顧客の要求に応えるための我が社のあるべき姿を示すものでなければなりません。

そのため、計画策定は社内の事情に基づいて行われるべきではなく、顧客のニーズや市場の変化を出発点に考える必要があります。外部視点こそが、経営計画の本質を形成する鍵です。

  • 社内事情はあくまで目標達成時の「制約条件」として捉える。
  • 経営計画は、「我が社が生き残る条件は何か」 という一点に焦点を絞り、社内の意見や実情に左右されるべきではありません。

2. 経営責任を持つ者のみが関与する

経営計画の策定は、経営の根幹に関わる重大なプロセスであり、経営責任を負う社長と役員以上で討議し、決定すべきものです。

  • 社員を関与させない理由
    経営責任を持たない社員を関与させると、彼らの立場や現場目線に引きずられ、計画の本質が揺らぐ危険性があります。
  • 異なる意見は健全な議論の証
    討議の中で意見の相違が出るのは自然なことであり、むしろ歓迎すべき現象です。
  • 多様な視点が加わることで、より深く、バランスの取れた計画を立てられる。
  • 初めから意見が一致する方が危険であり、それは経営の一面しか見ていない証拠です。
  • 意思決定は社長の役割
    議論の中で多様な意見を聞きつつ、最終的な意思決定は社長が責任を持って行うべきです。経営計画の決定は多数決ではなく、社長の「ワンマン決定」によるべきものです。

3. 討議を通じた意思統一と副産物

経営計画の討議プロセスは、単に方針を決定するだけでなく、役員同士の意思疎通コミュニケーションを深める貴重な機会となります。

H社の事例

H社の経営計画策定を通じて、社長は次のように語りました:
「これまで常務とは毎日のように顔を合わせていましたが、二人の考え方に大きな相違点があることに驚きました。これでは役員がそれぞれ異なる考えで社員に指示を出していたのですから、会社がうまくいくはずがありません。」

  • 討議の過程で、役員間の認識のズレが浮き彫りとなり、意思の統一が図られました。
  • 結果として、社員も「仕事がやりやすくなった」と感じるようになり、組織全体の一体感が生まれました。

4. 明確な方針が組織にもたらす効果

方針が一本化されることで、社員は指示の混乱から解放され、安心して業務に集中できる環境が整います。

兄弟経営の事例

ある兄弟経営の企業では、四人の役員それぞれが異なる考え方で指導しており、社員は混乱していました。しかし、経営計画の策定に向けて個別の方針を持ち寄り、意見を交換した結果、方針が統一されました。

  • 意見のズレが明らかになったことで、「お前はそんなことを考えていたのか」と大笑いしながらも議論が進行。
  • 明確な方針が書面にまとめられたことで、社員も安心し、働きやすさが向上しました。

目次

まとめ:経営計画策定の本質

経営計画は、顧客の要求に基づき、「我が社が生き残るための条件」を明確に示すものです。その策定プロセスは、以下のポイントを重視する必要があります:

  1. 顧客と市場の変化を出発点とする。
  2. 経営責任を持つ者だけが討議し、社長が最終決断を下す。
  3. 多様な意見を取り入れつつも、意思決定は揺るがず、明確であること。
  4. 討議を通じて、役員間のコミュニケーションが深まり、組織の一体感が生まれる。

経営計画は単なる「書類」ではありません。それは企業の方向性を示し、組織全体の力を結集するための経営の指針であり、未来を切り開くための最も重要なツールなのです。

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