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営業日報

多くの企業で営業日報の提出が求められているが、実際のところ、それらの多くは営業日報とは言えない。むしろ、営業担当者の「行動記録」に近い内容だ。具体的には、一日のスケジュールが記されており、何時から何時までどの企業を訪問し、誰と面会し、どのような話をしたのかを詳細に記録する形式が一般的だ。

極端な例では、社外での活動を「拡売」「商談」「受注」「集金」「納品」「クレーム対応」「接待」「食事」「移動」「待機」などと細分化し、社内の時間を「来客対応」「電話応対」「記録作成」「調査」「整理整頓」「車両整備」「会議」「本社業務」などと分類させるようなケースもある。正直、これでは常軌を逸しているとしか思えない。そもそも、こんな詳細な記録を提出させたところで、何の意味があるのだろうか。

そもそも、セールスマンにその日の行動を逐一報告させること自体が、彼らに嘘をつくことを促しているようなものだ。一度外に出てしまえば、実際の行動を正確に確認する手段など存在しない。結果として、架空の報告や美化された内容が記されるリスクが生じるだけだろう。

実際のところ、喫茶店やパチンコ屋、競輪場や競馬場などで時間を潰しているセールスマンは少なくない。だが、それを正直に日報に書く者などいるはずもなく、結局は嘘をつくことを助長しているに過ぎない。そもそも営業日報で管理できないような行動を報告させようとすること自体が無意味だ。そのようなやり方は、即刻やめるべきだろう。

営業日報は外部情報の記録に限定すべきだ。この方法なら、セールスマンは自らの行動を記録する必要がないため、虚偽を記載する動機がなくなる。外部情報とは、主に顧客や競合他社に関するデータを指す。具体的には、顧客の要望や意見、小売店舗の場合は売場の占有率や欠品の補充状況などが重要な項目となる。これらの情報は、営業活動を改善し、戦略を立てる上で真に価値があるものである。

忘れてはならないのがクレームだ。これについては、意図的に報告されないケースがあることはすでに触れた。そのため、クレームが隠蔽されないような仕組みを整えることが重要となる。一方、競合他社の情報では、新商品のプロモーション戦略やセールスマンの訪問頻度、さらには社長や営業部長といった幹部クラスの訪問状況が重要なポイントとなる。これらの情報を正確に把握することが、営業活動における有効な戦略を立てる鍵となるのだ。

このように報告内容を明確に定めておかないと、セールスマンが収集する競合他社の情報は、我が社と直接競合する商品のうち、我が社よりも安価なものに偏りがちになる。その結果、安価な競合品の情報が過剰に強調され、企業が安値競争に巻き込まれる危険性を高めることになる。この点において、特にク穴熊社長クのようなタイプは判断を誤りやすい傾向があり、注意が必要だ。

営業日報は、小規模な企業であれば社長が全て目を通すことが可能だが、企業規模が拡大するにつれてそれが難しくなる。その場合、営業部長や営業所長が要点を整理して報告する形をとるのが現実的だ。ただし、抜き取りで直接確認することも時には必要になる。一方で、クレームに関しては例外である。これだけは全ての報告を社長自ら確認しなければならない。クレーム対応は企業の信頼を左右する要素であり、責任者が軽視してはならない分野だからだ。

営業日報から得られた情報の中で、特に重要だと思われるものや「怪しい」と感じられるものについては、社長自身が現場に足を運び、自分の目で確認する必要がある。机上の報告だけでは実態を把握できないことも多く、現場で直接確認することで初めて得られる洞察や解決策が存在するからだ。

営業日報は、セールスマンの行動報告ではなく、外部から得た重要な情報を集約するために使うべきです。以下が、営業日報の効果的な運用方法です。

1. 報告内容を外部情報に限定

  • 営業日報に含める情報は、顧客や競合会社に関する外部情報に絞ります。セールスマンの行動については嘘を助長する可能性があり、無意味な情報になりがちだからです。

2. 報告項目の明確化

  • 顧客に関する情報
    • 顧客の新たな要望や関心事項
    • 小売店舗での売場占有率や欠品の状況
    • クレームや顧客からのフィードバック
  • 競合会社に関する情報
    • 競合他社の新商品やプロモーションの動向
    • 競合セールスマンの訪問頻度や重要人物(社長や営業部長)の訪問状況
    セールスマンに競合他社の価格ばかり注目させると、不要な安値競争を招くリスクがあるため、価格以外の情報も重視させることが重要です。

3. 報告書のチェック体制

  • 小規模企業では社長がすべての営業日報に目を通すことができますが、会社規模が大きくなると、それは困難です。そこで、要点をまとめた報告を営業部長や営業所長に作成させます。それでも、時折社長自らが抜き取りでチェックすることが必要です。
  • クレームに関しては例外で、社長がすべての報告を直接確認するべきです。

4. 現場確認の重要性

  • 営業日報から気になる情報や「臭い」と感じる情報があれば、社長が自ら現場に足を運び、直接確認することが必要です。この行動が、会社の状況を正確に把握し、戦略の方向性を確認するために役立ちます。

営業日報は、セールスマンの行動を管理するものではなく、現場の情報を戦略に生かすための重要な情報収集ツールとして活用するべきです。

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