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引用原文(現代語訳)
何の喜びがあろうか。何の歓びがあろうか?
(世間は)このように燃え立っているのに。
汝らは暗黒に陥っていて、燈明を求めようとしない。
逐語訳と用語解説
表現 | 解釈・補足 |
---|---|
何の喜びがあろうか | 無明の状態にある人が享楽に浸ることへの警句。真の喜びではない。 |
燃え立っている(世間) | 煩悩・欲望・苦悩・執着によって、心も社会も苦しみの炎に包まれている状態。 |
暗黒に陥っていて | 無明(悟りや真理への理解がない状態)。 |
燈明を求めようとしない | 真理・目覚め・智慧の探求を怠ること。仏教における「法の光」を求めない姿勢。 |
全体の現代語訳(まとめ)
この世の中が、欲望や争い、執着によって燃え立っているというのに、あなたは何を喜ぶのか?
真理を知らず、暗闇に落ちたまま光を求めることもしない。その状態に、どれほどの歓びがあるというのか?と仏陀は鋭く問いかけている。
解釈と現代的意義
この言葉は、「何も問題がないかのように」生きている現代人への目覚ましであり、自己の無関心や惰性への警鐘です。
スマートフォンに夢中になり、SNSや物欲に埋もれ、本質を見失っている日々。その中で「本当の光」を求めるか否かが、人生の分かれ道になります。
この節は、「気づかずに生きる危険」に対する厳しいが慈悲深い呼びかけなのです。
ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 実践的な適用例 |
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問題の見落とし | 外的な成果や一時の好調に満足して「根本的な課題」を見落としていないか、常に問う必要がある。 |
変化拒否の危うさ | 世の中が大きく変化しているにもかかわらず、現状維持に甘んじていないかを見直す契機。 |
内省の欠如 | チームが燃え尽き症候群にあるのに、気づかずに形骸的な業務を続けている状態は「暗黒に陥った」状態。 |
真理・理念の不在 | ビジョンや理念(燈明)を掲げず、ただ惰性で経営や働きを続ける組織への反省材料。 |
心得まとめ(感興のことば)
「燃えている家の中で、安らかに眠ってはいけない」
世の中は煩悩の炎に包まれている。
その中で、何の疑問も持たず、何の光も求めずに喜んでいる――
それが本当の幸せか?
目を覚まし、灯明を求める者にこそ、真の歓びがあるのだ。
この節は、まさに「目覚めへの問いかけ」であり、仏教的な緊急性と慈悲が同居した珠玉の言葉です。
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