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■引用原文(日本語訳)
三五
善いことをした人は、この世で喜び、来世でも喜び、
ふたつのところで共に喜ぶ。
かれは、自分の行為が浄らかなのを見て、喜び、楽しむ。
―『ダンマパダ』より
■逐語訳
- 善いことをした人は、この世で喜び、来世でも喜び:善行の結果は、今の人生にも、死後の世界にも喜びをもたらす。
- ふたつのところで共に喜ぶ:現世と来世の両方で幸せを味わう。
- 行為が浄らかなのを見て:自らの清らかな行いを認識することで、自信と喜びを得る。
- 喜び、楽しむ:内面の充実と心の明るさに包まれる状態。
■用語解説
- 善いこと(善行):利他性、誠実さ、正義にかなった行為。仏教では、三業(身・口・意)において清らかな行い。
- この世・来世:現実の人生と、死後の転生先。仏教ではいずれも業(カルマ)によって決まるとされる。
- 浄らかな行為:動機・手段・結果すべてにおいて汚れがなく、正しいと自他ともに認められる行動。
■全体の現代語訳(まとめ)
善い行いをした人は、今この人生においても心から喜びを感じ、
そして死後の世界においても幸福に包まれる。
現世と来世の両方で、安らぎと喜びを享受する。
その人は、自らの行いが清らかであることに気づき、
そこから深い喜びと満足を得るのである。
■解釈と現代的意義
この偈は、「善き行いは報いとして幸福を生む」ことを、今と未来の両面から説いています。
現代においても、他者から賞賛されることがなくても、自分自身が「良いことをした」と確信できる行為には、
誇り・安定・幸福感が伴います。そしてその感覚は、将来の困難に直面したときの心の支えにもなります。
これは「因果応報」という教義に基づくだけでなく、実践倫理としての心の構造を表しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 応用例 |
---|---|
自己肯定感と幸福 | 日々の小さな誠実な行いが、やがて「自分はよくやっている」という内なる自信と幸福感を築く。 |
長期的成功 | 利他的な行動や正直な対応は、時間をかけて信頼・人脈・機会となって実を結ぶ。 |
組織文化 | 清らかで倫理的な意思決定を重んじる企業は、社員のモチベーションと誇りを引き出しやすい。 |
メンタルヘルス | 自分の行為に対する「良心の安心感」は、ストレスの少ない持続可能な働き方につながる。 |
■心得まとめ
「正しき行いは、心の太陽となる」
あなたが善いことをしたならば、
今この瞬間のあなたの心が喜び、
やがて未来のあなたをも包む光となる。
その行為が清らかであると自覚できたとき、
人は何にも勝る確かな喜びを手にする。
だからこそ、ためらわず善をなせ。
それが、あなたを照らし、人を導く光となるのだから。
この偈は、自己承認やセルフケア、ポジティブ心理学的実践とも結びつく内容です。
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