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■引用原文(日本語訳)
彼らは広大なる天界を享受してから、
功徳が尽きた時、人間の世界に入る。
このように、彼らは享楽を望んで、
三ヴェーダの規定に従い、行ったり来たりする。
(『バガヴァッド・ギーター』第9章 第21節)
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- 彼らは天界の広大な享楽を味わった後、
- 功徳(カルマの善果)が尽きると、再び人間界へと生まれ変わる。
- このようにして彼らは、快楽を求めて、
- ヴェーダの定めた儀式に従いながら、生と死の間を循環する。
■用語解説
- 天界(スヴァルガ):功徳を積んだ者が死後に赴くとされる快楽の世界。だが永続しない。
- 功徳(プンニャ):善行によって得られる霊的な報い。時間が経つと消耗する。
- 人間界:カルマ(行為)の報いとして再び転生する世界。解脱が可能な唯一の領域ともされる。
- 三ヴェーダの規定:ヴェーダに基づく儀式・祭祀・道徳的規範。輪廻からの解放ではなく、一時的報酬を目指す体系。
- 行ったり来たりする:サンサーラ(輪廻)を意味する。終わりなき生死の循環。
■全体の現代語訳(まとめ)
ヴェーダの教えに従い、祭祀や善行に励む者たちは、
天界に生まれ変わって至福を味わうが、それは永遠ではない。
功徳が尽きると再び人間界に戻る。
こうして彼らは、快楽を追い続ける限り、輪廻のサイクルにとらわれ続けるのだ。
■解釈と現代的意義
この節は、形式的信仰や一時的功徳では最終的な解放(モークシャ)に至らないことを説いています。
どれほど「良い行い」をしても、それが永遠の幸福に結びつくとは限らず、
ただ「一時的な報い(天界)」を得てまた苦しみの世界へ戻るだけです。
つまり、短期的な報酬に目を奪われず、本質的・根本的な解脱の道を志せというメッセージが込められています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
一時的な成果 | ボーナスや昇進といった短期成果を得ても、持続的幸福には結びつかないことがある。 |
成果依存のリスク | 成果が尽きた時=成果が出なくなった時、自信を失い迷う人が多い。成果に依存しすぎない基盤が重要。 |
形式主義の限界 | マニュアル通りの「良い行い」だけでは、成長も本質の改善も生まれない。 |
長期視点での目標設定 | 目先の数字ではなく、キャリアや生き方全体における目的意識を持つ必要がある。 |
■心得まとめ
「一時の報いにとらわれず、永遠の成長を求めよ」
天界さえも永遠ではない――
だからこそ、私たちは「報酬を得るために働く」のではなく、
**「魂を鍛えるために働く」**べきなのだ。
真の成長と幸福は、行ったり来たりする現実から一歩抜け出す、
自己超越の道にこそある。
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