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■原文(第11章 第23節)
多くの口と眼、多くの腕と脚、多くの腹を持ち、多くの恐ろしい歯で、
恐ろしいあなたの巨大な姿を見て、勇者よ、諸世界は戦慄いています。
そして、私もまた戦慄いています。
■逐語訳(一文ずつ訳す)
- 多くの口と眼を持ち、
- 多くの腕と足を持ち、
- 多くの腹を持ち、
- 多くの恐ろしい歯を持つ、
- 恐ろしい(ビビッドラ/怖れさせる)あなたの巨大な姿を見て、
- 勇者よ(マハーバーフォ)、
- 諸世界は戦慄いている(ヴィシャヴェチャカンテ)、
- そして私もまた、恐怖に打たれています。
■用語解説
用語 | 解説 |
---|---|
多くの口と眼 | 神の全知全能性、あらゆるものを見・語る力の象徴。 |
腕と足、腹 | 創造・維持・破壊の働き、遍在する力を象徴。 |
恐ろしい歯 | 破壊や死を象徴し、無常と終末の力を示す。 |
勇者(マハーバーフォ) | 「偉大なる英雄」アルジュナに向けた呼びかけ。 |
諸世界 | 現象界・天界・地上界など、あらゆる存在層。 |
戦慄く(ヴィシャヴェチャカンテ) | 恐れ・畏敬・震撼を含む感情。偉大さに対する人間の自然な反応を表す。 |
■全体の現代語訳(まとめ)
あなたの姿は、無数の顔と目、手足と腹を持ち、
鋭く恐ろしい歯を備えており、その巨大さはあまりにも恐ろしく、
この世界のすべての存在は震えあがっています。
そして、私自身もまた、その姿に圧倒され恐れています。
■解釈と現代的意義
この節は、「本物の偉大さは、単なる魅了だけでなく畏怖をもたらす」
という側面を描いています。
現代では「偉大さ」はしばしば「優しさ」や「寛容さ」と結びつけられがちですが、
本質的には「畏れを抱かせる力」「圧倒する存在感」も偉大さの一部です。
特にアルジュナのような勇者が恐れおののくほどの姿は、
神性=人間理性の限界を超える存在であることを象徴しています。
■ビジネスにおける解釈と適用
観点 | 適用例 |
---|---|
リーダーシップの威厳 | 慈愛と同時に「畏れられる要素」も持つことで、真の統率力が生まれる。 |
危機のマネジメント | 成長や創造だけでなく、「終わり」「破壊」「撤退」といった側面も見据える必要がある。 |
信頼と畏敬の両立 | 好感や人気だけでなく、「あの人の前では気を引き締める」という空気感も尊敬を生む。 |
■心得まとめ
「真の偉大さは、人を魅了するだけでなく、畏れさせる」
愛されることと畏れられること。
この両方を併せ持つとき、人は“本物”と認識される。
それは単なる好人物や人気者ではなく、
規範となる存在、信頼と権威の源となる人物であることを意味する。
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