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愛情という絆が、苦しみと不安をもたらす


目次

📜 引用原文(日本語訳)

愛情から憂いが生じ、
愛情から恐れが生ずる。
愛情を離れたならば憂いが存在しない。
どうして恐れることがあろうか?

—『ダンマパダ』第16章「愛するもの」第213偈


🔍 逐語訳

  • 愛情から憂いが生じ(chandato jāyatī soko):愛情(欲望・好意)を持てば、そこに不安や悲しみが生じる。
  • 愛情から恐れが生ずる(chandato jāyatī bhayaṃ):愛着対象を失うことへの恐れが生まれる。
  • 愛情を離れたならば(chandam vajjetvā):その愛情・執着を手放すことができれば、
  • 憂いが存在しない(natthi soko kuto bhayaṃ):憂いは生じず、恐れももはやない。

🧩 用語解説

  • 愛情(chanda):ここでは単なる好意にとどまらず、執着や欲望的な愛も含まれる。
  • 憂い(soka):悲しみ・苦しみ・不安の感情。
  • 恐れ(bhaya):失うことへの不安、心の不確かさ。
  • 離れる(vajjetvā):自ら放棄し、離れ去ること。

🧾 全体の現代語訳(まとめ)

人が「欲しい」「好きだ」と感じる愛情は、同時にそれを失うことへの不安や悲しみを抱え込むことになる。
しかし、もしその愛情や執着を手放すことができれば、心に憂いも恐れも生じる余地はない。
精神的な自由とは、愛着の有無ではなく、愛着への態度にあると説いている。


🧠 解釈と現代的意義

この偈は、愛情という美名の裏にある執着と苦しみの構造を明らかにしています。
私たちは「好きだから」「大切だから」と言って対象に執着しますが、それは必ず失うことへの恐れや不安を伴います。
本当に自由な心を持ちたいならば、「持つこと」ではなく「離れる力」を身につける必要があるのです。

この教えは「愛するな」という否定ではなく、執着を含まない愛し方、すなわち「見返りを求めない在り方」を促しています。


💼 ビジネスにおける解釈と適用

観点解釈・適用例
🧘 感情の自律成果や評価に過剰に愛着すると、失敗や否定に敏感になり、精神的に不安定になる。
💼 経営判断「好きな商品」や「好感の持てる相手」に執着しすぎると、冷静な判断を失い、リスクを見誤る。
🤝 チーム運営部下や同僚への過剰な愛着(依存)は、真の信頼関係を損なう。距離感と中立性が重要。
🎯 モチベーション設計「愛されたい」「認められたい」という動機から離れ、価値ある行為そのものに集中することが、安定した成果を生む。

🔑 心得まとめ

「執着なき愛だけが、恐れを知らぬ平安をもたらす」

人や成果、評価や関係性への「愛情」は、時に心を縛る鎖となります。
真に自由な働き方、そして豊かな人間関係を築くためには、「愛する」ことと「執着しない」ことを両立させる智慧が求められます。
手放す強さこそ、動じない心の礎であるのです。


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