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身・口・意を慎む者は、真に自分を守っている


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■引用原文(日本語訳)

第一七章 怒り(二三四)
落ち着いて思慮ある人*は身をつつしみ、ことばをつつしみ、心をつつしむ。
このようにかれらは実によく己れをまもっている。
*思慮ある人(パンディタ):智慧ある者、熟慮と観察力を持つ人。


■逐語訳

  • 落ち着いて思慮ある人は
     → 冷静で知恵と洞察を持つ者は、
  • 身をつつしみ、ことばをつつしみ、心をつつしむ。
     → 身体の行動、発する言葉、そして心の中の思いを節度と注意をもって制御する。
  • このようにかれらは実によく己れをまもっている。
     → こうした態度こそが、真に自分を守るということである。

■用語解説

  • 身(身体):実際の行動や態度。五戒のうちの不殺生・不偸盗・不邪淫などに関わる。
  • ことば(口):発言、コミュニケーション。四つの誤った言語行為(妄語・悪口・両舌・綺語)を避けることが重視される。
  • 心(意):内面的な感情や意志。貪・瞋・癡などの三毒の制御が鍵となる。
  • 己れを守る:煩悩や衝動に支配されないことが、本当の「自己防衛」であるという仏教的観点。

■全体の現代語訳(まとめ)

落ち着いて物事をよく考える人は、身体の行動を慎み、言葉に注意を払い、心の中の動きにも目を向けて節度を保っている。
このようにしてこそ、人は本当の意味で自分を守っているのである。


■解釈と現代的意義

この偈は、仏教の根本である「身・口・意の三業の慎み」の総括的な教えです。
自分を害するものは、外部の敵ではなく、自らの内から生じる欲・怒り・迷いです。
行動・言葉・心を常に観察し、慎み深く生きることによって、私たちは煩悩や誤りから自分自身を守ることができます。
これは、現代社会における自己管理・セルフリーダーシップにも直結する普遍的な教えです。


■ビジネスにおける解釈と適用

観点適用例
セルフマネジメントストレスが多い環境でも、行動・発言・感情をコントロールすることで、安定した成果を出せる。
信頼の構築誠実な言葉づかい、慎重な行動、内省的な心構えは、長期的に信頼を築く基盤となる。
リーダーシップの本質他者を動かす前に、まず自分の「身・口・意」を整えるリーダーが、本当の尊敬を集める。
危機管理感情的・衝動的な反応を避け、慎みある対応を重ねることで、トラブルを最小化できる。

■心得まとめ

「言動と心を整えることが、最良の防御となる」
他人の目や社会的地位に左右されるのではなく、日々の自分自身のふるまいを整えることが、
最も深く、最も安定した人生と仕事の基盤を築く。
リーダーであれ従業員であれ、「慎み」のある人はどこにいても信頼され、尊敬される存在になるのです。

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