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賢者は、語る前に身をもって語る


■ 引用原文(日本語訳)

自分が他人に教えるとおりに自分でも行なえ。
わたしはつねにわが身をよくととのえている。
賢者は自分の身をととのえているからである。
――『ダンマパダ』第9節(九)


■ 逐語訳と用語解説

  • 自分が他人に教えるとおりに自分でも行なえ:言葉と行動の一致。教える者にはまず実践者であることが求められる。
  • わたしはつねにわが身をよくととのえている:自己管理・自己修養に努めているという自覚と誓い。
  • 賢者(パンディタ):知識や技術だけではなく、自己の行動を慎み整える者を指す。
  • 身をととのえる:外面的な行動のみならず、内面的な動機・思考・姿勢を含めた統一のあり方。

■ 全体の現代語訳(まとめ)

「他人に教えることは、自らもその教えを実行することで、はじめて真に意味を持つ。私は常に、自分自身を整えようと努めている。なぜなら、賢者とは、まず自らの身を調えてこそ賢者であるからだ。」

この句は、賢者の条件=自己統御・言行一致・誠実さを明示しています。


■ 解釈と現代的意義

この句は、現代において特に求められる「ロールモデルとしてのリーダー像」を鮮明に示しています。
知識や発信力だけでは、人は人を導くことはできません。人々が従い、信頼を寄せるのは、「言葉の通りに生きている人」です。

また、この句は「わたしは常に整えている」と宣言することによって、「自己修養の継続性」――すなわち、一時的な整えではなく、日々の姿勢としての自己訓練の重要性も説いています。


■ ビジネスにおける解釈と適用

領域適用例
リーダーシップ方針や理念を掲げるだけでなく、自分自身がそれを体現してこそ、チームは信頼して従う。
社内教育・研修内容を教えるだけでなく、講師自身の姿勢・言動が学びそのものになる。
ブランディング企業が掲げる理念・行動指針を、経営陣自身が一貫して実践することで社会的信頼を得る。
社員育成・OJT先輩社員が「背中で教える」姿勢を持つことで、組織文化が自然と継承されていく。

■ 感興のことば(心得まとめ)

「賢者は語る前に、己の行いで語っている」

知識よりも人格が、言葉よりも行動が、
人の心を動かす。
賢者とは、常に自らを整え続ける者である。
その生き様こそが、最大の教えとなる。


本章句は、「教育者」「指導者」「親」「経営者」など、あらゆる導く立場にある人のための倫理指針とも言える内容です。

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